2012年11月10日土曜日

六甲・有馬 (K-01/AT-X242AF)

そろそろ山の方では紅葉がいい頃かな、ということで、六甲山に行ってみた。
まったく安易な発想で、行ってみれば人だらけで難儀したのだが……

カメラはまあ、これからしばらくK-01ばかりの予定であるが、レンズはTokina AT-X242AFにしてみた。
ちょっと古いものだが、24-200mm F3.5-5.6という、よくある28-200mm F3.5-6.3あたりよりも少しだけ良いスペックの高倍率ズーム。
一応Tokinaとしては格上のブランドであるAT-Xシリーズではある。現行ラインナップはAT-Xしかないんだけども、昔はXがつかないATシリーズがあった。
デジタルで使うには、広角端24mmだと換算36mmくらいで、28mm→43mmよりずっと使いやすい。

かなり大きく重たく、フードつけると700gを超える代物でかなり豪勢に見える。タムロンだと似たようなスペックを400gくらいにするのだけれど。

今日は紅葉狙いということで、K-01のカラーモードはMiyabiにしている。適切ではないかもだけど。
決してシャープに写せるレンズでもないので、ファインシャープネス+2に設定してみた。これも適切かはわからないけれど。




阪急電車で六甲駅まで来たら、そこからはバス……と思ったら、バスが混みまくり。
神戸大学の学園祭があり、六甲山上ではアートイベントをやっているようで、それに加えて私らのようなおじさんおばさんが紅葉狩りに来て、かなり混む日を選んでしまったよう。


六甲駅の近く、六甲八幡神社。
ここはここで七五三の参拝者が多かった。

平清盛が福原遷都のついでに石清水八幡宮から分祀したそう。戦国時代には荒廃していたが、1795年に奈良春日大社の旧社殿を移して再興したとのこと。

隣に厄神宮があり、旧本殿が移されている。重文指定で、安土桃山時代のもの。


AT-X242AFを使い始めてすぐ感じられるのが、AFの遅さ。
DA21mmLtd.やDA40mmXSのような小さなレンズでは、ちゅんちゅんいいながらそれなりの速度でピントが合うのだが、こんな重量級のレンズでは、かなり苦しげに動く。



バスも混んでるので、歩いてケーブルカーまで上がることにする。


駅近くに「六甲登山口」なる交差点があったくらいなので、ここは元々は登山道だった道かもしれない。今では大学ありのマンションありの道だけれど。


途中に、大土神社というのがある。
桃山時代の建立で、六甲川沿いに水車利用を目的に開発がなされた時に守護神として開かれた。
水車で絞った菜種油を、川下の新在家から船積みして出荷したため、水や水運にまつわる住吉大神も祭神にある。他には天照大御神と菅公。


地図上ではそれほどの距離ではないのだが、なんせかなりの上りで、結構しんどい思いをしてケーブル駅に到着。


2両繋がったケーブルカーは、割と珍しいか。



ケーブル駅上から、神戸の街が視界に広がる。
バスで移動したいところだったが、満員。


しかし望遠端は、F7.1でもこんな描写。
まあ距離がありすぎるからモヤの影響もあるだろうし、わざわざ1600万画素の等倍で見て文句いうてもなんだけれど。
ちょっとボケがヘンに強調されているのは、ファインシャープネスのせいだろう。
こんな感じになるということは、ボケががちゃがちゃした、つまりボケの縁が立つ二線ボケ傾向なレンズでは、それがますます強調されてしまいそう。


Exifによれば70mmF7.1。
強くしたファインシャープネスでは、ピントが合ったところのシャープネスはいいが、ボケはやはりちょっとうるさい。レンズのせいもあろうが。

あたりは企業の持ってる山荘がいっぱい。



しばらく歩いて、開けたところに出る。
そろそろ昼食を取りたいが……と思って少し歩くと、古そうだけれど綺麗に保たれたカフェレストランがあった。
入ってみると、白髪のマスターがひとりでフロアから厨房までやっている。中もやっぱり、古いが綺麗。海側は大きく窓が取られて、神戸の街と港が見える。
出る料理はちょっとした洋食で、かつて外国人の避暑地として開かれた六甲山では、それが土地らしい食事となるだろうか。

土産物の売り場が併設されていたが、置いてあった写真フィルムがかなり前のパッケージだったりして、売り物の時が止まっている。なのに丁寧に掃除されている不思議さ。


でんき自動車博物館というのがある。あった。
ハイゼット、RAV4、カローラ、ミゼットIIなどなど……。


環境にやさしい。
まあ、だったらRAV4でなくても、とは思うのだけど。


こんなのも。
しかしタイヤは潰れ、ボディは苔むし、いつから放置されているのかわからない。バッテリーなんか、過放電で飛んでしまってるんじゃないかなあ。
畳んでしまうなら、こんな野ざらし放置じゃなくて、どこか活用できるところにクルマを移して欲しかったな。私も一応、仕事でうすくだけどエコカーにも関わる身。



その向かいに六甲山ガイドハウスというのがあり、その屋上は記念碑台、となっている。
六甲山を開いたグルーム氏の顕彰碑と銅像があり、他にも自然保護センターなどがあった。
なにか三菱電機ののぼりを立てた人たちが大勢集まって休憩していた。六甲山縦走とかしんどいこと書いたのぼりだった気がするが、新人研修か何かかな。


バスを待って、一台満員で見送り、臨時増発されたバスが来たので一区間乗って下りると、六甲オルゴールミュージアム。

名前通りにオルゴールの博物館。
以前に京都嵐山にあるのを見に行った時、今では少女趣味なイメージがあるオルゴールというものも、歴史を遡って見れば、音楽を機械化するというテクノロジーが異常発達したような、さながらゼンマイパンクとでもいうような様相を見せて、なかなか理系男性好みの面があるのを知った。
知った……のだが、そういう面では嵐山のやつのほうが面白かったな。
六甲の方は、実演デモンストレーションをやってるホールがちょっと広すぎ、物が遠くてあまり見えない。アートイベントのタイアップで、絵本風アニメ映画を流しながらの演奏だったりして、少女趣味を前に出しているようだった。
バイオリン(の小さいもの?)を3基同時に自動演奏する装置なんかも演奏され、興味深くはあったのだが……

人の多さもあってあまり落ち着けず、またバスに乗って移動。


六甲有馬ロープウェーの駅へ。
結構な混雑で、定員61名に一度は乗れない感じ。私はたまたま前便出発直後に到着し、そして残された人たちの後ろについたので、乗れずに待つということはなかった。


ゴンドラの最後尾に位置取ることになったので、裏六甲の紅葉をたくさん撮影できた。この寒いのになぜだか窓が開いていたが、まあ撮影的には都合がいい。


鮮やかさが欲しくて露出を上げるとコントラストが下がり、露出を下げると薄暗い。コントラストの設定をもっと上げるべきだったかな。
シャドウ/ハイライト補正が働いてたかもしれず、オフにしておくべきだったかも。


織部焼みたいな色の山。


有馬の街の端っこが鮮やか。


関西では「ありっまひょ~えのこーぉよーぉかっくへー」というCMはお馴染みこの上ない。
「○○の坊」という旅館が多いが、元々寺の宿坊だったところが旅館化していったせいだとのこと。


ゴンドラはこの程度のもので、大きくはない。
ロープウェーにしちゃかなりの長距離路線だと思うが、これでも2.3kmで半分くらいになっている。
もともとケーブルカーの駅に接続する、全長5キロの日本最長のロープウェーだった。


駅の姿だけ見ると秘境っぽい。


有馬の街にロープウェーからくると、なんだか街に旅館しか存在しないかのような雰囲気のところに出てしまう。
しかしまあ、温泉と宿でほとんどすべての街だといえば、それはそうかもしれない。


気温は7度くらいで、さすがに紅葉も真っ赤。


滝本神社という味のあるお社。由緒はわからない。


見事に傾いてしまったが、温泉寺。黄檗宗の寺。
行基が724年に建立したことになっていて、有馬温泉中興の祖である仁西の像も安置されている。
隣にはちょっとした歴史館もある。
後に北政所が復興したりもして、江戸時代に黄檗宗になったとのこと。


横手から階段を上がっていくと、湯泉神社にたどり着く。
有馬温泉を発見したのは大巳貴命と少彦名命とされていて、この地域の守護神になっている。



下りてきて、温泉寺の裏に回ると極楽寺という寺。
聖徳太子創建で、594年からだから温泉寺より古い。


極楽寺境内に、太閤の湯殿館という施設がある。
阪神淡路大震災で半壊した庫裏を改築しようとしたところ、有馬温泉のリピーターだった秀吉の湯山御殿の遺構が見つかって、このような展示館を建てるに至った。


中にはその時の発掘品が展示され、見つかった蒸し風呂の跡がそのまま実物で見られる。


裏手には、秀吉が掘り当てて使っていたという極楽泉源がある。


念仏寺という寺も、極楽寺の隣にある。
北政所の別邸だったといわれる。

その奥の辻に炭酸せんべいの製造直売所があった。
機械が盛んにせんべいを生産しているのを眺めつつ、試食を頂いて、炭酸せんべいと、クリームを挟んだタンサンクーベルというのをひとつずつ購入。
炭酸せんべいはお馴染みの味。タンサンクーベルは、食べてみるとクリームに生姜がきいていて、意外に大人の味だった。


更にもう少し上がって、炭酸泉源公園というところに行ってみる。
公園といっても、シンプルに炭酸泉の泉源を公開しているところだった。

ちょっと汚く見えるが、温泉の成分でこうなってしまうようだ。
この溜まりとは別に、蛇口から綺麗な炭酸泉が出て、飲めるようになっている。
それほど炭酸が強いわけではなく、ミネラルの味がすごいことに。昔は砂糖を入れて飲んでいたらしいが、それより前には毒水といわれていたそう。


ここから、ちょっと目当てがあって有馬の街を外れ、北の方へ行く。
六甲川を渡って有馬街道へいく道にあるこの端は、杖捨端といわれる。有馬温泉から帰る人達はみな健康になって、杖がいらなくなるからここで打ち捨てていったという。


そして、切手文化博物館に到達。
入って「最終入場3時半、閉館4時」とあり、時計を見ると3時40分だったが、受付の方がいいといってくれたので入場。迷惑なので真似すべきでない。

館内はそう広いわけではないのだが、なにせ展示物が切手だけあって、ぎっしり展示されている。
日本初の切手から最新の記念切手まで、様々なものがとにかくたくさん。
私も子供の頃に少しだけ切手を集めたりしたが、その頃の40円・60円切手も、鳥の図案の少額切手も確かに見覚えがある。懐かしい。
しかし、私の歳でさえもう切手を利用することなんて少なくなってしまったものだが、もっと若い子は切手をほとんど見たことがないとか、そんなことになってるのかもしれないなあ。

閉館が近いから、あいにくちょっと駆け足になってしまった。もし有馬温泉にまた来る機会があったら、じっくり隅々まで見に来よう。



ここから神戸電鉄の有馬温泉駅に戻って、帰路へ。
なんと有馬で温泉に入っていないが、混んでたのよ……



AT-X242AF、*istDS2のときは特に文句なく、K-xでもまあアラは出るけど高倍率ズームだし妥協範囲、というところだったけれど、K-01になるとさすがにレンズが負けてる感じか。
特に望遠側がかなりしんどいなあ。シャープネス設定とかではフォローしきれなそう。
純正レンズなら倍率色収差補正や、遅くて良ければ歪曲収差補正もできるのだけど、そこも不利かもしれない。

歪曲は、ズーム倍率の割りにはあんまり目立たない。そこはいいところだ。

まー、正直タムロンの18-200mmとかのネット作例などを見ても、望遠端は良くなりそうだけど、広角~標準くらいの範囲ならそれほど差はないかなあ、という感じ。
やっぱり高倍率ズーム一本は無理あるかな。コンパクトデジカメでも、小振りな高倍率ズーム機ってきっついの多いし。


K-01のAF補助光は、どうも発光位置がレンズ付け根に近くて、かなり短いレンズでないとレンズが陰になって被写体に当たらない。

これもデザインの弊かと思うが、さすがにAT-X242AFのような馬鹿でかいレンズでは仕方ないにしても、普通の標準ズームでもマクロ域なんかでは怪しい。
AFのことと併せて、小さい単焦点レンズが合うカメラといえそう。PENTAXのラインナップなら、小さい単焦点はたくさんあるから、対応はできる。

K-01の質と併せて考えれば、標準ズームの代わりに21mm/40mm/70mmのパンケーキ三姉妹、望遠を補う必要があれば70-200mm、なんて取り合わせが幸せになれそうな気がする。
21mmも40mmも、一応70-200mmもあるから、次に抑えるならDA70mmLimited……といいたいところだけど、どう考えても良く使うとは思えない。
DA15mmとか、DA10-17mmFisheyeとかのほうが広がるかな。