2014年11月14日金曜日

5年モノのeneloop mobile boosterの残存容量

未だにモバイルバッテリーが「モバイルブースター」「モバブー」などと呼ばれることもあるが、その由来であるSANYO eneloop mobile boosterの古いモデルが手元にある。




初期モデルは2007年発売で、KBC-E1S/L2S/L3Sの3つが出た。
E1Sは単三電池2本の充電と、それを使ってのUSB電源機能とがある。
L2S・L3Sはリチウムイオン電池内蔵の、今時のモバイルバッテリーと同様のもの。L2が大容量モデルで、L3は小型モデル。

2009年になって、出力ON/OFFスイッチがついた、KBC-E1AS/L2AS/L3ASが出た。
私の手元にあるのはこの世代の、L3ASがふたつ。
L3ASは2500mAhの容量で、L2ASは2倍程度。

2010年、1A充電を要求する機器が登場したことに合わせて、1A出力のKBC-L2BSを発売。
また、2011年夏には、NTT docomoのスマホ周辺機器扱いで、小容量タイプのL3サイズで1A出力が可能なものが出た。ドコモポケットチャージャー01の名前。



この後、Panasonicに三洋電機が買収され、製品もPanasonic印になって、Qiに対応したりして今に至る。


さて、さすがにリチウムイオン電池に関してはしっかりした製品を作る三洋電機製だけあって、KBC-L3ASは5年使った今でもトラブルなく充放電できる。
とはいえ、電池の劣化は避けようがない長期間でもある。
この5年ものKBC-L3ASは、はたして2014年現在、どれだけの充電能力を残しているだろうか。



測り方は、MeMO Pad HD7への充電で行う。
電池を減らしておいたMeMOPadの残容量を、battery monitor widgetで%単位で読み取る。
この時、10%以下とか90%以上では充電効率が悪くなると思われるので、だいたい20%くらいにしている。
それからMeMOPadをシャットダウンし、モバイルバッテリーで充電。
充電完了後、起動して電池残量を読んで、引き算すると何%充電できたかわかる。MeMOPadのバッテリー容量は3950mAhなので、 %を掛けて充電量をmAhで求める。

使うケーブルは、MeMOPadに1.3Aで全速充電できることをUSB電流計で確認したもの。充電速度・効率に大きく影響するほど品質が悪いものではないはず。

KBC-L3ASをふたつ、ドコモポケットチャージャー01ひとつの他に、比較対象として新品の1800mAhのものを用意した。中国製のテキトーなやつ。


さっそく結果を書き出すと、以下のようになった。
  • KBC-L3AS (1) …… 充電量1067mAh / 総容量2500mAh / 効率42.7%
  • KBC-L3AS (2) …… 充電量988mAh / 総容量2500mAh / 効率39.5%
  • ポケットチャージャー01 …… 充電量 1106mAh / 総容量2500mAh / 効率44.2%
  • 中国製バッテリー …… 充電量1778mAh / 総容量1800mAh / 効率98.8%

比較用のコントロールのつもりで用意した中国製バッテリーが、なんと表示容量の98.8%と、異様に効率よく充電できた。なんだこれは……
Impressの家電Watchで連載している藤山哲人のモバイルバッテリー診断では、表記容量の70%使えれば優秀、という話なので、98.8%使えているのはおかしい。
これで、新品モバイルバッテリーの充電量期待値を求めたかったのだけど、これじゃ使えないな……

仕方ないので、新品の充電量期待値を70%と仮定する。(なお、Panasonicの現行モデルQE-QL103のレポートでは61%)
すると、2500mAhのバッテリーで1750mAh充電できるのが期待値となる。
今回測ったKBC-L3ASは約1000mAhほど充電できたので、1750mAhに対して57%ほどの能力は残していることになる。


5年間のKBC-L3ASの使用状況だが、それほど多用していたわけではなかった。
もっぱらSANYO eneloop portable solarに繋いでチャージしておいて、携帯電話に適当に充電する程度。充放電サイクル数は、多めに見ても100回程度だと思う。
太陽電池ゆえにじわじわ不安定に充電されるのが、どれほど電池に過酷かはわからない。ただ、過放電や過充電になる機会はなかった。
日の当たる窓際に長期間置かれていたことになるので、夏は高温、冬は低温や結露に晒され、その点では過酷。安物のバッテリーを同じように使ったら、すぐ壊れてしまった。

利用回数は少ないとはいえ、5年という期間と、温度環境が厳しいところに置かれていたことを考えると、それで50%以上の能力を残していたなら、さすがは三洋の耐久性といってよかろうと思う。
これより後に購入した安物の中には、充電不能になるまで死んだものとか、放電時に発熱があって使用停止したものとか、いくつもあって、5年も使えたものはない。


容量が半分まで弱ってしまっていては、「まだ使える」とはちょっと言い難くはある。
とはいえ、これをもう寿命だとするなら、単純に容量だけが低下するという一番穏やかな寿命の迎え方をしている。
私の手元で死んだものの中には、使用中にカバンの中で異常発熱して、そのまま次は充電できなくなっていた、なんていう酷いものもあった。
よくある、急に充電も放電もほとんどできなくなる、というのは、防爆弁が作動したとか、ヒューズが飛んだとか、何らかの安全装置が働いた結果かもしれず、あまり穏やかでない。

昔はSANYOとかSONYとかだと、中国製の2倍くらいの値段したものだけど、最近はそこまでの価格差でもないし、信頼性に払う金額として十分いいんじゃないかな。
リチウムイオン電池は実際、ちゃんと制御して使わないと危険なものだから、あまりいい加減なもんは使わないほうがいいと思うし。(そういってる私も使ってるのだが)