少し前にOLYMPUS OM-4を手に入れて、なんだかフィルムカメラを使いたい気分になっていたので、前から持っていたPENTAX SVを持ちだした。
1962年発売だから、私より年上どころか、親の子供の頃の製品。現在49歳。
レンズは、SMC TAKUMAR 28mm F3.5と135mm F3.5。こっちは少し新しくて70年代の製品のはず。
このカメラには露出計もないのだが、そこは現代のフィルムを使うので、カンで適当にやっても大体写るだろう。
よく晴れた日のひなたでは、ISO100のフィルムならF16に絞って1/125秒くらいのシャッタースピード。これを基準に大体の見当で。
フィルムはまず、KODAK GOLD 100。24枚撮り150円だったので、おそらく今買える一番安いフィルム。
以前フィルムを使っていた2000年頃には、コニカのCenturia SuperがISO100から400まで手頃な値段で買えたものだけど、あれはもうなくなってしまった。
箕面駅に降り立って、大阪鉄道全乗達成の記念すべきあずき色を一枚。
駅を出てすぐ、駅の建物内に観光案内所兼足湯というおかしいようなそうでもないような取り合せの施設。
来ていきなり足湯も変なので、地図をもらって山の方へ。
近くを流れる箕面川沿いに、滝道、という案内がある。
そこを歩いていけば、箕面国定公園に入って箕面滝に至る。
駅の近くは、観光地らしく土産物屋だらけ。
もみじの天ぷら、なるものがよく売られている。もみじを一年塩漬けにして、塩抜きしてから砂糖入りの衣で天ぷらにする。役行者が作ったのが始まりとか。
そしてひときわ目立つ、箕面温泉スパーガーデン。名前だけは関西ローカル局のテレビCMで散々聞くのだけど、どういう施設か、温泉だろう、という以上はわからない。
もう少し歩くと、国定公園に。
国定公園内とはいえ、道沿いに旅館や料亭が並んでいる。しかしいずれも景観を壊すようなこともなく、こういう風景という感じ。閉店して廃墟化してるようなところも見当たらなかった。
道沿いに、川床が見れるという建物があったので入ってみた。
(外観の写真も撮っていたのだが、どうもカメラにちょっと怪しいとこがあったようで、シャッターが開ききらずに撮影されていたため使えず。画面左端が1/8くらいケラレていた)
しかし、このためだけに新築したとは思えず、しかし料理屋や宿屋とも思えない間取りだったし、なんだろう。
道の脇に、野村泊月の句碑。
そのちょっと向こうに、箕面公園昆虫館がある。ちょっと子供向けらしいのと、私は虫が苦手なので、なかには入らず。
滝道は、地図で見ると山に登っていく登山道のように見えるが、実際のところは大した勾配はなく歩きやすい道。
もうちょっと登山じみた散歩になるかと思いきや、それほどでもない。
ここでフィルムが尽きたので、箕面山瀧安寺の門前にあった休憩スペースっぽいところでフィルム交換。
2本目は、カメラのキタムラで安いようでそうでもない値段(ISO200/36枚撮り298円、ただし見切り価格っぽい)で売っていた中国製のフィルム。中国楽鎧公司というところの製品らしい。これ。
しかし、パトローネからベロを引っ張り出そう、としたところでヘンに硬く、あれ?と力を入れたら一応出た。
カメラに噛ませ、裏蓋を閉めて、カウンターが1になるまで空シャッター……と思ったら、最初の巻上げの手応えがヘン。硬い、と思った瞬間軽くなった。
あけると、フィルムの端っこがちぎれていた。なんでフィルムが引きちぎれるほどパトローネが抵抗するのか。デリケートなカメラなら巻き上げ壊れてたかもしれないぞ。
しかしフィルムが他にないので再装填。固いようならやめよう……と思ったが、引っ掛かりは取れたのか、以後は給送できた。でももう次は買えないな。
フィルムを交換していたら、近くに座っていたおじいさんが「まだデジタルにせえへんの」と話しかけてきたのでしばらく写真トーク。
もう少し若い頃は、ニコンFにポジを詰めて登山して写真を撮ってくるのが趣味だった、とのこと。デジタルにしてズームレンズ使うと、あまりに楽で便利で感心した、とか。こっちはまるで逆のことしている若造である。
コニカのさくらカラーフィルムが会社の事業ごと無くなった、という話に驚いていらした。
そして箕面山瀧安寺。
この赤い橋を渡った向こうは行者堂という。行をする者以外は立ち入り禁止というような看板があったので、外からだけ。
階段を上がってこちらが本堂で、弁財天を祀っている。
658年に役行者が開いた寺で、宗派は本山修験宗という。行場として空海も日蓮も修行にきたとか。
この弁天堂も、後水尾天皇が1658年に建てさせたものというから風格がある。
また、初めて富くじを始めた寺でもある。
寺を出てさらに歩く。
確かこのあたりから少し道が細く、谷も深くなって薄暗くなってくる。
山歩きらしい雰囲気はあるが、私の直感露出では露出アンダーだらけになってしまっていて、このあたりの写真は壊滅状態。しょぼい。
ネガならアンダーよりオーバーに強いんだから、オーバー気味くらいに撮っていくべきなのだけど、薄暗いところでオーバー狙いじゃ手ぶれしそうで思い切れず。
途中で唐人戻岩という大岩が、道端に座しているというかそびえ立っているというか。7.5mある。
昔、唐から来たえらい人がこの道を通って箕面滝を見に行こうとしたが、この岩がとても通れないと思えて引き返したそうな。当時の狭い川沿いの道で、こんなもんあったら通りたくなくなる気分はわかる。
クラシックな食堂。滝の間近にはハイカラな飲食店などがあるのだが、少し離れたこのあたりは昭和で時間が止まったまま。
そして滝に到着。
2.7kmの道のりだが、そんなに辛くもない。
レンズを135mmにつけかえて、そして復路へ。
同じルートを通ってもしかたないので、来た滝道とは川を挟んで反対側の狭い道を行ってみることにした。
途中でときどきあった道標を見る限り、こっちの道もかなり長い区間で川沿いに並行していると思われたので。
舗装されている滝道とうってかわって、未舗装&階段だらけ。そして地獄谷といういかめしい地名。
(道標の写真に発生している右下のケラレが、先にかいたシャッタートラブル)
しかしまあ、コンクリやアスファルトの舗装ではないだけで、十分歩きやすく作られてはいる。
歩いて行くと、結局想定通りに滝道に合流。
ここからは無難に箕面駅に戻り、帰路へ。