2011年9月3日土曜日

Hybrid Crossfireを使ってみた

我が家のPCは、静粛性と消費電力の低さを重視した構成で通してきている。
だからグラフィックもオンボードを使っているのだが、先日少しばかり3D性能がほしいことになった。

素直にいくならグラフィックカードを追加、今時ならRADEON HD6850がバランスがいいチョイスだ、と現役自作野郎の友人にアドバイスまで受けたのだが、あまりに普通で面白くない。
それに、それだけで消費電力が100W以上増えるというのも気が進まない。元々消費電力の低い構成だから、電源容量も抑えてるし冷却系も弱い。

うちのマザーボードのAMD785Gチップセットでは、Hybrid Crossfireという、オンボードグラフィックと増設グラフィックカードを同時に使用してパフォーマンスを上げる機能が使える。
まあ、2008年くらいに登場した機能だし、今更の話ではあるのだけども、なにせ検索しても実際に使ってる人の話があまり出てこない。
そういうわけで、ちょっと使ってみることにした。
●PC構成
CPU: Phenom II X3 705e (2.5GHz)
マザーボード: GA-MA785GPMT-UD2H (AMD 785G / サイドポートメモリー128MB)
カード: GeCube GC-HD345PLS2 (RADEON HD3450 / 256MB)
OS: Windows 7 Home Premium 64bit

 速度に関わるような設定は全部定格。
 メモリーはDDR3の2GBモジュール2枚で、インターリーブは有効。

 オンボードグラフィックは、メインメモリーからグラフィック用のメモリを割り当てる(UMA)のが通常なのだけども、このマザーボードではグラフィック専用のサイドポートメモリーがついている。
 メインメモリーが必要ならサイドポートメモリーだけで使うこともできるし、メインメモリーとサイドポートメモリーを両方使えば、メインメモリーのみよりも性能が上がる。


 Hybrid Crossfireを利用するときは、オンボードとカードの組み合わせが決まっている。
 AMD 780G/785G/790GXに対しては、RADEON HD2400Pro/2400XT/3450/3470。
 もう少し新しい世代では、AMD Dual Graphicsと名前が変わって、AMD 880G/890GXに対して、RADEON HD5450を使う。
 最新のAMD A8/A6だと、HD6670やHD6570などと組み合わせられる。
(Hybrid Crossfireは、正直いって性能的にあまり意味がない機能なのだが、A8 + HD6670のDual Graphicsはかなり強力らしい


●ハード・ソフトの設定

 HD3450をPCI-Expressスロットに挿して、ディスプレイケーブルはカード側に挿す。オンボード側は使えなくなる。
 BIOS設定は、「Init Display First」の項目は「PEG」に、「Surround View」を「Enabled」にする。こうしないとカードを挿した時点でオンボードグラフィックが無効になるので。
 ドライバは現在の最新 (Catalyst 11.8) を導入し、AMD VISION Engine Control Centerで「Performance」から「AMD CrossFire」を選んで「Enable Crossfire」をチェック。
 これでHybrid Crossfireが有効になる。


●3DMark 06の数値 (画質設定は標準のまま)
2818 - HD3450 + 785G (Sideport + UMA 256MB / 500MHz)
2828 - HD3450 + 785G (Sideport + UMA 256MB / 600MHz)
1770 - HD3450 + 785G (Sideport のみ)
1602 - HD3450のみ

 スコアはかなり上がる。HD3450単品に対して75%アップ。
 Hybrid Crossfireが出始めの頃のASCII.jpの記事と見比べると、ドライバの熟成度などが上がっている感じ。(780Gと785Gのグラフィック性能は大差なく、サイドポートメモリーの有無だけでここまで違わないと思うので)

 ただまあ、RADEON 5000/6000シリーズのミドルレンジ以上を挿したら10000そこらの数字は出るだろうから、1600が2800になって嬉しいかというと微妙なところではある。
 全然流行らなかった理由は、やる意味が希薄だったからだろうなあ。

 785Gのグラフィックコアは500MHz駆動が標準のところ、600MHzにオーバークロックしてみたのだが、誤差程度しかスコアは上がらず。
 つまりボトルネックはHD3450の方らしい。HD3470ならもう少しスコアが上がるかも。

 785Gをサイドポートメモリーのみで使うようにしたら、スコアが大幅に落ちた。Crossfireなしの単品でもそうなるので、これは仕方ない。
 もしサイドポートメモリーだけにしても性能低下が小さいなら、メインメモリーのロスが減ってよかったのだけど、そう上手くはいかない。
 サイドポートメモリーを切ってUMAのみ、というのは、性能が落ちるだけでメリットがないので省略。

 HD3450のみの数字はすぐ出せる(VISION EngineでCrossfireを切るだけ)けど、785Gのみはモニターケーブル差し替えとか面倒なので省略。4gamer.netの記事でそれっぽい数字がある。


●性能以外の変化点

 785GのオンボードグラフィックはRADEON HD4200という名前で、動画再生支援などもHD4000系準拠のUVD 2.2に対応する。
 しかしHybrid Crossfireにすると、一世代前のHD3450がメインになるので、再生支援はUVD+に世代が下がる。
 Windows 7環境だと、動画再生にEVRレンダラーを使うと負荷が軽くなっていいのだけど、これが785Gだと使えるが、HD3450だとダメになった。何か設定の問題があるかもしれないが……。

 それから、Windows 7のエクスペリエンスインデックスは、785G単独でグラフィックスが4.2あったところ、HD3450とのHybrid crossfireで3.6に下がった。
 「ゲーム用グラフィックス」ではなく「グラフィックス」、Aeroデスクトップのパフォーマンスの項目だから、ここも世代が落ちる影響かも。


●結論

 すでに何度か書いてしまっているけれど、やっぱりあんまり意味がない……。