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2014年7月21日月曜日

アオシマ1/700 初春の新旧キット比較

 最近艦これブームで艦船プラモデルの売上が、3割とか5割どころじゃなく5倍とかに急伸しちゃってるそう。

 ところで、1/700スケールの手軽な艦船キットは、静岡の模型メーカー3社、タミヤ・ハセガワ・アオシマが共同でラインナップしている「ウォーターラインシリーズ」というのが主。

 これが1971年に始まった歴史あるシリーズなもので、艦によっては70年代に設計されたレトロなキットが未だにそのまま入っていることもある。
 一方で、21世紀になってから現代の技術で新設計されたキットが出てくる艦もある。
 またメーカーによる設計力の差もある。今は大幅に挽回しているけど、古いキットについてはアオシマのものはかなり辛いと定評がある。

 先日、同じアオシマ製の駆逐艦初春の、70年代の古いキットと、2010年にリメイクしたキットを共に入手したので、作り比べてみた。
 古い方は相当古い時期のもののようで、こちらのページ最下部の左から2番めのロゴのものだった。1975年以前のロゴだから、私より年上だよ。
 新キットには、竣工直後の重武装な1933年仕様と、友鶴事件・第四艦隊事件を受けて大改修された後の1941年仕様のふたつがある。旧キットは改修後仕様なので、新キットも1941を使った。





 手前が新キット、奥が旧キット。
 どちらも、基本的にはキットをただ組み立て、塗装をしただけ。
 技術的に酷いのは色々勘弁してください。艦尾の旭日旗、取り付け方が全然見当もつかず、チャレンジしては失敗を繰り返してどうにもならなかった……

 塗装はファレホという輸入塗料を使った。
 色々扱いが難しい塗料で、普通にGSIクレオスのMr.カラーを使うほうがいいと思う。すぐ塗装がハゲたり溶けたり……
 ただ、悪臭がほぼゼロという大きなメリットがあり、エアコン使いたいとか、同居家族に体調の悪い人がいるとか、奥さんうるさいとか、そういう事情があれば強い。

 使う色はどちらも同じにした。
 リノリウム甲板の色が黄色すぎるのも、少々船体のグレーが薄いのも、単に私の色の見立てが悪かっただけ。ファレホの店頭色見本わかりにくいのよね……


 奥の旧キットは、ほぼ組み立てて塗っただけ。
 ただ、どうも金型の作りが悪いみたいで、砲塔や魚雷発射管の上面、艦首舷側に酷いヒケがあり、そのパテ埋めは行った。
 砲塔・魚雷発射管には少しモールドでディティールを作っている形跡があったんだけど、ヒケの方があまりにも酷いから、結果的に削り落とすことになった。
 全体にパーツに変なヒケや傷があり、あれこれ修正していたらモールドが消えたところ多々。艦橋なんて窓もない単なる立体構造になっちゃったので、窓にあたるところを削り落として代えた。

 ボートダビットがなくて甲板にそのままカッターや内火艇が置かれてるのは、元からそう。ダビットのパーツなんか存在しない。


 手前の新キットは多少は頑張って、張り線なんてやってみた。やってみただけの水準だけど。
 前煙突の前につくはずのパーツが、切り出し失敗して飛んでいって行方不明につき省略。恥ずかしい……
 それから、スミ入れもやってるけれど、通常タミヤエナメルでやるスミ入れをファレホ塗りには行えない。なので、勝手が違って大げさになったりしてしまった。
 内火艇のダビットが逆向きになってることに気付いたのは取り付け後だった。酷い。

 12.7cm連装砲は、キットにもっとしっかりしたものがついているのだけど、なぜか砲身パーツの嵌合が悪くて、砲身が内向きハの字になってしまった。
 どうにもかっこ悪かったので、ウォーターラインシリーズのキットに共通で入っている「組合パーツ」といわれる、日本軍小艦艇共通部品にある12.7cm砲を使った。



 さて、見比べると、やっぱり新キットが格段に見栄えがいい。

 組み立ての難易度も、新キットの方が細かい部品が多そうに見えて、旧キットも十分多い。
 また旧キットは、受け穴とダボの大きさが怪しいパーツも多い。取扱説明書にも間違いがあって、ひとつのパーツを2箇所につけろと誤指示されてたり、取り付け場所が違うパーツがあったり(これは修正されているかもしれないけど)。
 取り付けるパーツがない受け穴が見えるところにあったり(本来埋めるべきだけど埋めてない)、上記の酷いヒケもあり、パテくらい使えないと辛い。
 着色の指定も、なぜかリノリウム甲板は無視して全面グレー指示だったり、何かとおおらか。
 おおらかな分だけ組み立ても楽なら、初心者は旧キットをあえて選ぶ線もあったんだけど、そうもいかない。


 しかしまあ、色々大雑把とはいえど、新旧並べて旧キットが別の艦に見える、というほどでもないと思う。1/144スケールの飛行機なんか、雑過ぎて別物というか何者にも見えないようなのたまにあるし。

 違いといえば、まず船体の全長が違う。なんだろう。フォルムも旧キットの方が丸い。
 機銃も、旧キットはなぜか三連装機銃だけど、多分正しいのは新キットの毘式40ミリ機銃と思う。機銃は台座から違うなあ。
 他に旧キットは、主砲の照準窓が左右逆。爆雷投射機もない。後艦橋もだいぶ違う感じ。

 新キットでは、タグボートと内火艇は組合パーツを使う指示になってるけど、組合パーツのボート類はちょっとでかすぎるとの話。確かにそうかも。
 それからディティールのモールドがみっちり施されているのはいいけど、少しオーバーとも思えるし、甲板の滑り止めっぽい突起なんかスケールがおかしいとか、ケチはつけられる。まあ漫画的表現と思えばいいと思うけれど。