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2015年3月21日土曜日

Scansnap S300からES-D350に買い替え

 先日、長年愛用していたScansnap S300を手放した。

 Amazonで買ったので注文履歴をさかのぼってみると、買ったのは2009年12月だった。
 4年と2ヶ月ほどの間に、実に30万枚近くスキャンしたので、我ながらよく使い込んだ。
 廉価モデルのはずなのだけど、これだけ使い倒しても概ね性能を維持していて、想定をはるかに飛び越えた耐久性を持っていた。
 なので、友人に譲り渡した。まだ使われる。

 スキャン速度の遅い廉価モデルなのはわかってたし、単に新古品が15000円で買えたから、「そもそも自炊などというめんどくさいことを続けられるか」というテストのために買った面があった。
 だから、自炊が続くなら高速モデルに切り替えよう……というつもりだった。
 そのテストが4年続いてしまったけれど。


 S300の後は、EPSONの旧機種ES-D350が安売りされていたので、それに乗り換え。
 これも2012年発売の古いもので、いまさらにも程があるんだけど。


●Scansnap S300 30万枚使用後の状態

 これだけ使えばどこか壊れてきそうなものだけど、破損らしい破損は一点だけ。


 イメージセンサーの画素落ちが出たようで、スキャンに真っ直ぐな細い線が入ってしまうところがある。裏にも表にもある。両面とも1、2ヶ所程度。
 紙くずやホコリを噛んで、それが線のように写り込んでしまうことはよくあるんだけど、それとはまた違うっぽい。掃除しようが何しようがずっと、確実に同じ場所にくるので。

 給紙関係はモーターとメカがあるから、劣化してきそうな部分なのだけど、そうでもなかった。
 もちろん、減りモノの給紙ローラーとパッドは何度も交換が必要だったけれど。

●消耗部品の実際

 S300系の消耗部品は、上位モデルのS500系に比べてかなり寿命が短い。

 特に顕著なのがパッドユニットで、公称1万枚で交換とある。
 とはいえ、実際はもっと持って、2万枚くらいまではなんとかなった。
 私の自炊用途では、A4をスキャンすることは稀で、B5や文庫・新書などが多かった。寿命設定はA4で1万枚なのかもしれない。

 ただまあ、こんなゴムとプラバネの組み合わせみたいなもんに1回1000円かー……という気持ちはあった。うん。
 使い込んで薄くなってきたら、ゴムの裏側にカサ増し材を入れて寿命を延ばせた。
 私は2mmほど厚みがある両面テープを、本体側の面だけ貼り付け、パッド側面には剥離紙を残したままにして利用した。
 これで寿命がプラス5000枚ってところか。

 ピックローラーは、確か15万枚くらいで一度、とりあえず交換しておいたはず。
 パッドユニットの劣化による給紙不良は何度も見たけど、ピックローラーの方が原因らしいのは結局見ることがなかったな……


●速度・スキャン性能

まあ、S300系が超遅いのはわかっていたことで、300dpiでA4をわずか4枚/分でしか読めない。
 自炊だと、スキャンする原稿は大抵はA4より小さいので、もう少し速いといえば速い。
 それでも遅いけども。

 単純計算で、A6版の文庫本をスキャンすると8枚/分。200ページあると、12分ちょっとかかる。
 小細工して、横倒しにスキャナーかけると、9分ちょっとで済むようになる。
 横倒しにスキャンされるが、文字の本を読ませる分には自動向き補正が優秀なので、おおむね正しい向きに直される。
 コミックなどの場合は、自動向き補正を使わずに読ませ、後処理で向きを変えたほうが確実。

 でもまー、このスピードのスキャナーを30万枚使った私は、かなりの変人だろうなあ。
 田舎のハードオフで、S300とかS1300が売られてるのが目に入ったことがあるんだけど、多分自炊やろうとして安いの選んで挫折した人の夢の跡だろう……。


 ただ、遅いなりにスキャンは正確にされていた。
 紙サイズの自動認識はまず失敗しない。これ、当たり前かと思ったら、ES-D350は全然ダメで……。
 多少斜めに給紙されてもまっすぐ補正してくれる。これは、オプション設定の「傾き補正」とはまた別に処理されているよう。


 重送検知がないので、紙質次第で重送は起こってしまう。
 漫画雑誌のような悪い紙質のものや、あるいは電撃文庫なんかに稀にある、紙質が良すぎて表面がサラサラすぎるものなんかで重送しまくる。
 特に消耗品が減ってきているともう顕著。

 ハード自体の給紙力は、ES-D350のほうが上かな。
 多分S300は、低回転の弱いモーターで給紙してるから、パッドで紙を1枚だけ抜く力を弱くせざるを得ず、摩擦の強めの紙だと分けられない……みたいなことだと思う。

 また、引き込むパワーが弱い分、紙の横幅ガイドがかなりゆるゆる。
 ガイドがキツいと、給紙時に抵抗になってしまうからだと思う。
 おかげで、複数枚ほどセットして読ませていたら、ちょっとページが斜めに入ったせいでガイドが押されて開き、そのせいでますます斜めになりやすくなって……と、悪循環で、どんどん紙が傾く。


 それから、コンパクトモデルなので、排紙トレイが省略されている。
 なので、100円ショップでA4版の書類バスケットを買ってきて、その上にS300を設置するとよし。紙が散らばらない。


●EPSON ES-D350 ファーストインプレ

デ……デケェッ!

 S300は廉価モデルでかつコンパクトモデルでもあったんだけど、ES-D350は大きい。重量も5キロくらいある。
 Scansnapの上位機種も大きめだけど、ES-D350のほうが大きいな。


 ハードウェアは、それなりにしっかりした造り。
 消耗品以外は、公称30万枚の寿命があるらしい。

 でかいだけに、一度に給紙トレイに置ける枚数もたっぷり。排紙トレイもたっぷり。
 本一冊を、大体2分割か3分割程度でいける。楽!


 セットアップして、軽くスキャンしてみると、こいつは速い。
 Scansnapの現行モデルiX500でも25枚/分のところ、ES-D350は旧機種ながら20枚/分(300dpi)。
 今までのS300の5倍のスピードだよ。

 モーターのパワーがあるらしい分、給紙ガイドがゆるいなんてこともなく、力強くどんどん吸い込んでいく。 
 これはなかなか良さそうかな、と思わせる。

●いまいちなスキャン結果

でまあ、スキャンして上がりを見ると、えー、って感じであった。

 S300ではほとんど発生しない、紙サイズの誤認識が頻発。
 大きめに誤認して、余分な余白がページ外周に追加される。
 この誤認の発生率が恐ろしく高くて、3割くらい間違える。

 で、どうも一連のスキャンの最初の1枚で誤認すると、後続のページに対してすべて同じ大きさを決め打ちして全滅させる。一枚ごとにサイズチェックしたりはしていない。
 複数サイズ混在の原稿は、Scansnapはできるけど、これはできないようだ。

 まさか、Scansnapでは考える必要もなかった紙サイズ認識なんてところで、ここまで精度が悪いなんてちょっと想像外。
 私は最終的に電子ブックリーダーで読みやすい形に整形しなくちゃいけないので、無駄な外枠がついてるなんて状態では都合が悪い。

 ただまあ、紙サイズの手動設定は可能。
 元の版型サイズから、裁断で切り落とす分を考慮して少し小さめに設定して、プリセットとして記憶しておき、スキャン時に選ぶ。
 手動設定する分には、まあ問題ない結果は得られる。


 また、しばしばスキャンが曲がる。

 これは横倒しでスキャンしているので、センサーは画像に対して横方向に走ったはずだけど、なぜかこのような歪みが出る。
 給紙が斜めに滑ったとか、そういう画像歪みはScansnap S300にもあったんだけど、これは多分、給紙滑りでは説明つかないような歪みだと思う。
 
 今のところ解決法もまったく見えてなくて、頻度も高い。
 「保存用データとしてできるだけ綺麗にスキャンしておきたい」という考えの人なら、「何が自炊向けスキャナじゃボケぇ」と投げ捨ててもおかしくないと思うな……。
 私は「電子ブックリーダーで読むためにスキャン」が第一だから、読めりゃいいので大目に見るけれど。


 それから重送検知機能は、ちと誤動作が多い感じ。
 本のカバーみたいな、折りグセ・曲がりクセがついてるものは確実に重送だといわれる。まあこれは仕方ないんだけど。

 まんがタイムKRコミックスみたいな、やたらと上質な分厚い紙を使ってるやつが誤認識の嵐。
 重送検知の設定で紙厚を指定できるけど、「標準」か「薄い」しかない。
 まあ、KRコミックスの紙質なら、重送検知切っててもまあ、ダブルフィードはしなさそうだけど。


 で、重送検知で止まった時は、慌てずにPC上のソフトウェアが「重送検知しました」というまで待つべし。5秒くらい。
 慌ててすぐスキャナを開けてしまうと、ソフトウェア側は重送検知じゃなくてハードエラーだといってくる。

 これに関係あるかはわからないけど、時々ソフトウェアの動作が怪しくなる。
 スキャナを認識できなくなって起動できなくなったり、通常通りスキャンをしているような顔をしていながら、ファイルがまったく保存されていない状態になったり。
 このへんは、重送検知時にすぐスキャナを開けてしまう、ということをやらなくなってからは、あまり起きなくなった気がする。


 スキャンオプションは、アンシャープマスクだけはオンにしたほうが私好みの結果になる。
 Scansnapにおける「文字くっきり」は、シャープネス強め・コントラスト強めに処理して文字が読みやすくなる効果がいい感じに効いたけど、こっちの「文字くっきり」は、なんかシャープネスやりすぎでジャギー出るみたいになった。

 また、Scansnapでもそうしてたけど、文字原稿・モノクロ原稿であってもカラースキャンするようにしている。
 これは単なる私の趣味だけど、ScansnapでもES-D350でも、モノクロスキャンはちょっと、あまり良いスキャン結果とは思えず。


●ES-D350の良い点

さすがEPSONというか、発色はいいように思う。
 Scansnap S300だと、全体的に、紙を見ている印象よりだいぶ淡い感じの色でスキャンされていたけど、こっちは割と見た印象に近い。
 S300のときは、文字原稿とカラー原稿でいちいち設定変えながらスキャンしてた。

 あとはー…………安い。うん。
 ScansnapのS1500なんか、旧機種でもそんな値崩れしてないし。


 まあ私としては、S300より圧倒的に速い、ということは大きな価値。
 正直かなり不満はあるけれども、速いから我慢しようとは思う。安いし。


●まとめ

まあ、私なんか30万枚もScansnap使った後だし、いわゆるPCスキルは高い口だから、少々トラブってもスキャン結果がダメでも、適当にやれる。
 でも、これを初めての自炊のための最初の一台に、とかいうのは、ちと苦しいかもしれないな。
 「接続してオート設定でスキャンボタンを押したらまともな結果が出る」というのは、ES-D350で実現できているとは言いにくい。Scansnapなら実現できてる。

 買い替えて知る、Scansnapのクオリティの高さか。
 まあ、EPSONも新機種でもっと良くなったりしてるかもしれんけどね。