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2015年6月6日土曜日

武装集団早期撲滅の話(アシナガバチの巣を駆除しました)

 私は虫が苦手だ。
 ゴキブリなんかも、横に私以上に怖がる人がいるときは動けるのだけど、ひとりでいるときに遭遇すると固まってしまって反応が遅れ、その間に物陰に逃げられて行方不明、そのまま眠れなくなるなんてことがザラだ。

 そんなわけで、晴れて独居青年になってからは、ゴキブリの侵入は避けたかった。
 だから殺虫剤は早めに仕掛けたし、私にしては掃除もこまめに、またホントは苦手な蜘蛛類も手を付けず住まわせて傭兵にしていた(つっても室内にはピレスロイド殺虫剤撒いちゃうから居づらいと思うが)。
 それでもゴキブリが現れてしまったら、仕事の関係で殺虫剤をよく使っている友人が最強のC兵器だというバポナ殺虫プレートを持ちだそう、と計画していた。

 ところが、床ばっかり見ていたら、上からハチが来ていた。
 我が家は、洗濯機を置くベランダが二階にあるようなレトロな造りの戸建てなのだが、その二階ベランダの軒下に巣を作られていた。
 それも、なんか知らないけど、ひとつの軒下にみっつも並んでいる。よくケンカもせずにそんなことするな、というのと、ここそんなに居心地いいんかいな、っていう。
 いずれもまだ小さくて、見た時にはハチがいるのがひとつだけだったから、「ふたつは開拓に失敗して放棄されたコロニーかな」と期待したけど、そうでもなかった。

 せっかくこういう記事なんだから、世間への実用的な意味でも写真を載せるべきかもしれないのだけど、私は虫嫌いな上、蜂の巣のハニカム構造を見ると背筋がぞわっとなるもんだから、今回使うべき写真がみんなグロ画像になっちゃうので、載せないというか撮れなかった。




 最初にハチと邂逅したのは五月中旬、いつものように洗濯しようとベランダに出たら、スリッパの中で一匹死んでいたのを踏んでしまう、という形であった。
 道歩いてたら地雷の不発弾踏んだようなもんだけど、思えばその頃すでに蜂の巣があったのかもしれない。
 とはいえその時は、別に他にハチが飛んでるのも見かけなかったし、流浪の行き倒れハチかと思ってたのだけど。
 地雷なんか踏んだあとには、周囲に潜んでいたベトコンが一斉に立ち上がって追撃を仕掛けてくるものだと思うべきだったのだが……

 で、6月に入って洗濯して、タオル干してたらふと見ると、軒下にみっつもぶら下がっていた。
 いつもキャンプ張ってるところで、ふと見ると薮ひとつ向こうにベトコンの基地があったようなもんであろうか。

 まずは刺激せずに撤退して報告、情報部に通達して調査。

 巣は六角形むき出しのタイプで、ゲリラの種類はアシナガバチだろう。先日踏んでしまったのもアシナガバチだった。
 これがスズメバチだったら、こちらの戦闘能力では対処しようもないので、もう本隊からの航空支援(専用殺虫剤)とコマンド部隊(プロ)を呼ぶしかなかったが、アシナガバチならどうにかなるようだ。

 そもそもアシナガバチは攻撃性が低く、巣を攻撃するとか、成虫に直接触れてしまうとかでなければ刺されたりはしにくいそうだ。
 なのだが、直接触れる事故はまさに、洗濯物にくっついてたやつに、というケースが多いそう。私は巣のあるベランダで洗濯せにゃならんのだ。
 また、ハチの巣と私の行動範囲も近すぎて、こちらに攻撃意思がなくても嫌がられそうだ。
 こっちの領土に勝手に基地作られて、近づいてきたら攻撃するぞコラと威嚇され、近づかなきゃ何もしねえよといわれてもこっちも近づく用事があり、外交的に解決しようとしても相手は聞く耳持たず、という有り様なので、これは個別的自衛権を発動していいと思う。
 おとなしいアシナガバチはむしろ、害虫駆除を担ってくれる益虫である面もあるそうで、ベランダでなければ共生の道も考えたのだが、今回は残念ながら難しい。


 戦争するとあれば、しかるべき武装が必要だ。
 ハチは案外殺虫剤に弱いらしくて、特にハチ専用というようなものを使わなくても、一般的なピレスロイド系殺虫剤の効果は大きいとのこと。ハチ用というのは噴霧飛距離が長くて逆襲されにくいようなモノらしい。

 手元の武装として、ワンプッシュで一日蚊が来ない、という類の最近よくあるやつがある。
 私はもう出た当初から愛用していたのだけど、これかなり強力らしい。使えそうだ。
 ある程度定着性のある成分がくっついて、そこからピレスロイドが長時間揮発し続けるという代物のはずで、巣に食らわせたらそこに定着して長時間攻撃力を示すと見た。

 それから、ゴキブリ忌避剤もある。ちょっと家の勝手口のドアに光が漏れる程度に隙間があるもんで、そこから入り込んできやがらないようにと用意していた。
 こっちも成分見たらピレスロイドとフェノトリン(ピレスロイド系)で、これも長期間効くとうたっている。
 ワンプッシュ蚊取りは、揮発して部屋に広がって8時間なり半日くらい保つのが前提になるけど、ゴキブリ忌避剤は二週間保つ。多分広がりがないんだと思うが、ダイレクトに噴霧するなら多分こちらが強烈か。


 さて、敵の情報も得たし、武装もした。勝算もある。
 素肌はできるだけ出さないとか、黒い服を着ないとか、サングラスは論外とか、そういう基礎知識も踏まえて、白っぽい長袖も準備。

 ハチは昼間は出払ってるから、夜戦を仕掛けるのがいい。
 でも探照灯(懐中電灯)を使うと逆襲の的になるらしいので注意だ。
 私は、日の落ち切る少し前の夕刻、まだ目が効く時間に行った。


 で、まずワンプッシュ蚊取りを巣に向けて噴射してみた。
 ひとつの巣あたり3プッシュほど。

 吹いた瞬間に飛び立って逆襲してくることまで想定し、いつでも部屋に飛び込んで窓を閉められるようにしてたのだが、今回はそれほどでもなかった。
 巣の表面にとまってるハチはいるのだけど、なんか生きてるか死んでるかわからんほどじっとしてるし(最初は放棄された巣にくっついて残った死骸かと思った)、スプレー吹きかけてももぞもぞ動いた程度。ほんとにおとなしいんやな……
 ただまあ、相手の機嫌によると思うので、すぐ逃げる態勢はとっておくべき。

 で、翌日になってベランダを見ると、地面に5~6匹のハチが転がっている。
 よく見ると脚を動かしている奴もいるのだが、まあ助かるまい。
 効くとは聞いていたが、蚊を追い払う程度のものが、数センチあるアシナガバチをこれだけ虐殺するとなると、頼もしいような恐ろしいような。

 念のため巣を確認すると、ちょっと角度が悪くてあまり殺虫剤が届かなかったらしい巣に、一匹だけ成虫が残っているのが見えた。
 一番大きな巣には、噴霧前には数匹成虫がいたけど、こちらは見当たらなくなった。一番小さい巣は、噴霧前にも後にもいない。
 全滅には至ってないようだけど、ワンプッシュ蚊取りはあくまで室内用で、屋外じゃ揮散が早すぎてあまり長時間の毒性は持てないのかもしれない。
 それでも噴霧時に見たよりハチの数より、落ちてるハチのほうが多かったけど。


 改めて、ゴキブリ忌避剤の方を噴射してみた。

 そして丸一日経って翌朝様子を見てみると、成虫どころか白い幼虫がバラバラと10匹くらい落ちている。うわあ……。ほんと、虫嫌いにはグロ画像状態の有り様。
 とにかく死骸をホウキで掃除しつつ、巣の様子を確認すると、さすがにもう生気がない。

 ゴキブリ忌避剤、実に強烈だった。
 飛距離がないから結構巣に近づかないとダメなのが難点だけれど、今回みたいにトドメを刺すためにはいいんじゃなかろうか。こんなもん浴びた巣には、戻ってくることもできないだろう。


 ここまできたら、ということで、ホウキの柄で巣を落とす。
 なお、ハチが残っている状態で棒で突くようなことをすると、一気に総攻撃に転じられるらしい。やり方としては間違いだったようだ。
 水を噴射してやると、見えてないハチもみんな逃げるからその間に……とWikipediaに書いてあった

 今回は、柄でつついても巣が落ちても、何も動くものはなかった。ゴキブリ忌避剤は悪魔の兵器だ……
 落とした巣を片付けて、一件落着。
 アシナガバチの巣って、結構弾力性があって強いのね。付け根がすごく粘るように張り付いてて、棒一本でちぎるのは難しかった。


 巣を作られる場所は居心地がいいんだ、という話だけど、みっつも現れたうちのベランダは余程かもしれない。
 多分ゴキブリ忌避剤で営巣も防止できそうな気がするが、定期的に監視と噴霧を繰り返してみようと思う。