フジフイルムのニュースリリースなどを気をつけて見ていると、スーパーCCDハニカムには世代の表記があり、第8世代まで存在する。
せっかくなので、どの世代のスーパーCCDハニカムがどのカメラに採用されていたのか、調べてみた。
初代
- 2000/03 FinePix 4700Z (1/1.7型240万画素)
- 2000/07 FinePix 40i (1/1.7型240万画素)
- 2000/07 FinePix S1 Pro (APS-C 340万画素)
- 2000/09 FinePix 4900Z (1/1.7型240万画素)
- 2000/10 FinePix 4500 (1/1.7型240万画素)
- 2001/06 FinePix 4800Z (1/1.7型240万画素)
- 2001/06 FinePix 50i (1/1.7型240万画素)
この頃は、240万画素センサーなのに、記録画素数が432万画素だからと品番があたかも400万画素機のようで、「水増しだ」とバッシングが多かった。
それでいて、「画素数競争から画質へ」というような売り文句を使っていたりもして、どっちが狙いなのか……
ハニカム補完432万画素が、後の400万画素と同等かそれ以上の解像度を持っていたかというと、やっぱり少し足りない印象はあったかな。
200万画素を2倍に引き伸ばした、というよりはよほど良いけど、しっかりした300万・400万画素機には劣るくらいのレベル。
なお、2000年は初めての300万画素CCD搭載機・カシオQV-3000EXが登場した年。十分高レベルとは言える。
また、画素が斜めに並んでいる以上は、水平垂直にピクセルが並んだ画像にするには、補間処理を加えるしかない。なので、240万画素で記録したところで、「撮ったままを出す」ということにはならない。
それにしても、なぜか選べる記録画素数が432万画素の下が130万画素で、200万画素程度として使うことはできなかった機種もあった。
容量の小さいスマートメディアでは少々辛い。
高感度がセールスポイントのひとつでもあったけれど、選べる機種ではISO800が使えたり、選べなくてもISO200に設定されていたりと、ここについては売り文句通り。
第2世代
- 2001/03 FinePix 6800Z (1/1.7型330万画素)
- 2001/06 FinePix 6900Z (1/1.7型330万画素)
センサー画素数が330万画素に向上し、603万画素記録に。信号処理系なども進化したとのこと。
半年で次の世代に変わったせいか、採用モデルは少なく終わってしまった。
第3世代 スーパーCCDハニカムIII
- 2002/02 FinePix F601 (1/1.7型310万画素)
- 2002/04 FinePix S602 (1/1.7型310万画素)
- 2002/06 FinePix F401 (1/2.7型210万画素)
- 2002/06 FinePix S2 Pro (APS-C 617万画素)
- 2002/10 FinePix F402 (1/2.7型210万画素 - xD)
- 2002/11 FinePix M603 (1/1.7型310万画素 - xD)
センサー画素数は310万画素に下がるも、記録画素数は603万画素のまま。
どうやら信号処理系が進化したようで、640x480 15fpsの動画撮影や、603万画素で秒間5コマの連写などスピードアップが見られ、動画モデルのM603なんてものもリリース。
また、当時廉価モデルによく使われた1/2.7型サイズの200万画素センサー・400万画素記録のおのも用意。
xDカードへの移行が始まった世代でもあり、後から使うなら便利に。
F401はCCDリコール対象機種。
おそらく同じものであろうF402は対象になっていないが、実際どうだろう。
この時代に大規模に起きたCCD不良は、原因が接着剤だった。(→Wikipedia)
まさかそれが悪いと思われておらず発覚も遅れ、ソニーでは2002年10月に使い始めた接着剤が、2004年ごろからCCDを破壊し始め、2005年に10月に至ってリコール実施。
おそらく同じものであろうF402は対象になっていないが、実際どうだろう。
この時代に大規模に起きたCCD不良は、原因が接着剤だった。(→Wikipedia)
まさかそれが悪いと思われておらず発覚も遅れ、ソニーでは2002年10月に使い始めた接着剤が、2004年ごろからCCDを破壊し始め、2005年に10月に至ってリコール実施。
フジフイルムだけがすぐ気付いて、F402用のCCD生産で接着剤を再度変更するようなことが実際あるのかどうか……
第4世代
第4世代から、スーパーCCDハニカムはHRとSRに分かれる。
スーパーCCDハニカムIV HR
- 2003/03 FinePix F410 (1/2.7型310万画素)
- 2003/08 FinePix S5000 (1/2.7型310万画素)
- 2003/11 FinePix F420 (1/2.7型310万画素)
- 2003/11 FinePix S7000 (1/1.7型630万画素)
- 2004/01 FinePix F610 (1/1.7型630万画素)
- 2004/08 FinePix F810 (1/1.7型630万画素)
- 2004/09 FinePix E550 (1/1.7型630万画素)
HRはこれまでの延長線上で、高解像度を目指すシリーズ。
相変わらずセンサー画素数の2倍記録になるので、ついにセンサー630万画素・1230万画素記録というものが出現。
F410はCCDリコール対象。
私の手元では、F420のCCD不良個体も確認。
F410はCCDリコール対象。
私の手元では、F420のCCD不良個体も確認。
スーパーCCDハニカムIV SR
- 2003/09 FinePix F700 (1/1.7型310 + 310万画素)
- 2004/03 FinePix F710 (1/1.7型310 + 310万画素)
SRはかなり力の入った製品。
ダイナミックレンジが異なるS画素とR画素を300万画素ずつ配置し、それぞれを1つずつ使って1画素の仕事をさせる。
それによって、なめらかな階調表現を目指した。
興味深いセンサーだったものの、発表からF700のリリースまで半年ぐらいズレてしまって、商機を逃しちゃった感あり。
しかもF700はCCDリコール対象で、個体として早逝したものが多数。
唯一の後継機であるF710も、シャッター不良があってリコール。
また、私の手元ではF710でもCCD不良が出た個体があり。
使ってみたければ、大丈夫な個体であることを祈りながら買ってみるしかない。
第5世代
スーパーCCDハニカムV HR
- 2005/03 FinePix F10 (1/1.7型630万画素)
- 2005/05 FinePix Z1 (1/2.5型512万画素)
- 2005/08 FinePix S9000 (1/1.6型903万画素)
- 2005/09 FinePix S5200 (1/2.5型512万画素)
- 2005/10 FinePix F11 (1/1.7型630万画素)
- 2005/11 FinePix Z2 (1/2.5型512万画素)
- 2006/03 FinePix V10 (1/2.5型512万画素)
- 2006/06 FinePix Z3 (1/2.5型512万画素)
- 2006/09 FinePix S9100 (1/1.6型903万画素)
- 2006/11 FinePix A600 (1/1.7型630万画素)
- 2007/06 FinePix A900 (1/1.6型903万画素) *世代明示なし
しかもF10がリリースされた時、それがただ撮影できるだけのレベルではなくて、ISO1600でも驚くほど高画質だと大好評。かなりのヒットとなった。
また、この世代から2倍の画素数で記録するのをやめた。
A900はなぜかセンサー世代の明示がなかったが、寸法と画素数から見て第5世代らしい。
A900の半年前には、第6世代と思しきセンサーを使ったA610・A800がリリースされており、A900は後から出たのに旧世代のセンサーを使ったことになるから、それで伏せたんだろうか。
廉価・入門モデルであるはずのAシリーズに、旧世代とはいえネオ一眼で使っていた大型・大画素数のセンサーを使っているわけで、画質的にはすごくリーズナブルな製品だったのかも。
スーパーCCDハニカムSR II
- 2004/11 FinePix S3 Pro (APS-C 617 + 617万画素)
やはり凝り過ぎたSRセンサーだからか、早くもコンパクトカメラへの採用はなく、デジタル一眼レフのみ採用に。コスト合わなかったのかな……
第6世代
スーパーCCDハニカムVI HR
- 2006/05 FinePix F30 (1/1.7型630万画素)
- 2006/09 FinePix S6000fd (1/1.7型630万画素)
- 2006/11 FinePix F31fd (1/1.7型630万画素)
- 2006/12 FinePix Z5fd (1/2.5型630万画素)
- 2007/02 FinePix A610 (1/2.5型630万画素) *世代明示なし
- 2007/02 FinePix A800 (1/1.6型830万画素) *世代明示なし
- 2007/02 FinePix F40fd (1/1.6型830万画素)
さらに感度の上限が上がって、1/1.7型630万画素でISO3200に対応。
この頃には光学手ブレ補正採用モデルが他社には増えてきていたけど、FinePixはセンサーの強さを活かして高感度で戦っていた。まだスーパーCCDハニカムが強い武器だった時代。
2005年から2007年春にかけてのFinePixは、ごく下っ端のローエンドモデル以外はほとんどスーパーCCDハニカムを採用している。
この頃には光学手ブレ補正採用モデルが他社には増えてきていたけど、FinePixはセンサーの強さを活かして高感度で戦っていた。まだスーパーCCDハニカムが強い武器だった時代。
2005年から2007年春にかけてのFinePixは、ごく下っ端のローエンドモデル以外はほとんどスーパーCCDハニカムを採用している。
スーパーCCDハニカムSR Pro
- 2007/01 FinePix S5 Pro (APS-C 617 + 617万画素)
SR Proは第何世代のハニカムだという明示はないけれど、時期から見て一応第6世代ということに。
この機種を最後に、フジフイルムのデジタル一眼レフは中断。スーパーCCDハニカムSRも中断。
第7世代 スーパーCCDハニカムVII HR
- 2007/08 FinePix F50fd (1/1.6型1200万画素)
- 2008/08 FinePix F60fd (1/1.6型1200万画素)
さらに画素数が増えて感度もUP。
しかし実のところ、前ほど高感度の目覚ましい高画質は示せなかったらしい。
その分、まだ普通のCCDだと800万画素くらいだったところに1200万画素と、画素数では先行していた。
しかしなぜか、第6世代まではハニカム一色という勢いだったのに、第7世代の2007年夏から、急に通常のCCDを採用したモデルばかりになる。
製造コストが合わなかったとか歩留まりが悪かったとか、何かあったのかな。
その分、まだ普通のCCDだと800万画素くらいだったところに1200万画素と、画素数では先行していた。
しかしなぜか、第6世代まではハニカム一色という勢いだったのに、第7世代の2007年夏から、急に通常のCCDを採用したモデルばかりになる。
第8世代 スーパーCCDハニカムVIII HR
- 2008/02 FinePix S100FS (2/3型1110万画素)
- 2008/03 FinePix F100fd (1/1.6型1200万画素)
ダイナミックレンジが過去の4倍に拡大した、というウリ文句。
第7世代が出て早々と第8世代が現れたと思えば、これもまた採用機種は少しだけ。
画素数も、通常のCCDが1000万画素に到達してリードが小さくなってしまった。
画素数も、通常のCCDが1000万画素に到達してリードが小さくなってしまった。
スーパーCCDハニカムEXR
- 2009/02 FinePix F200EXR (1/2型1000万画素)
- 2009/08 FinePix F70EXR (1/2型1000万画素)
- 2009/09 FinePix S200EXR (1/2型1000万画素)
- 2010/02 FinePix Z700EXR (1/2型1200万画素)
- 2010/04 FinePix F80EXR (1/2型1000万画素)
ここから名前が変わって、「第n世代」というナンバリングもなくなった。
これまで、「広いダイナミックレンジ」のSRと、「高解像度」のHRに分かれていたのが、それを統合してシーンに応じて使い分けられるセンサーに。
これはかなり力が入った自信作のようで、販売店の店頭に「薄暗いところで回転する円盤を、EXRモードでしっかり止めて撮影できる」という凝った販促アイテムを設置してあったのを思い出す。
個人的には、発売当時ちょっと欲しかった。
位相差検出スーパーCCDハニカムEXR
- 2010/08 FinePix Z800EXR (1/2型1200万画素)
- 2010/09 FinePix F300EXR (1/2型1200万画素)
一眼レフカメラのオートフォーカスには「位相差検出式」といわれる方式が用いられている。
CCDセンサー上に位相差検出画素を含ませることで、位相差検出方式による高速なオートフォーカスを実現したという代物。
しかしこれも採用は2機種だけで、2011年2月にはEXR CMOS採用のF550EXRに代替わり。