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2012年4月28日土曜日

なんばパークスガーデン w/ DC25

ちょっと用向きがあって難波に。
ついでに、Kodak DC25の試写をしてきた。
1996年の黎明期デジカメ。
さすがに私の手元では一番古いが、この頃にもうコンパクトフラッシュ対応。
内蔵メモリのみのデジカメなどは、今時のPCにはポートがないシリアル接続しかできず、よしんばつなげたところで転送ソフトがWindows 9xのみだったりするのだが、DC25なら現代でも撮影して画像をPCに転送できる。偉い。



なんばパークスの屋上は緑化庭園になっているので、春になるとちょっとした見物になる。
隣接するホテルの上層階から見ると面白い眺めらしい。
庭園を歩くにも、花見気分もよし、なんばパークスの異形な建物もありで、なかなか悪くない。


ゲート。
2枚並べたが、左は撮ったまま、右はシャープネスをかけたもの。
比べると、明らかに遠景がピンぼけしているのがわかる。
カメラ自体はオートフォーカスではない、パンフォーカス機。マクロモードもないから、操作ミスやAFの失敗でこうなったわけではない。

なんでこうなっているのか。
ちなみに、発売当時の画質はImpress PC Watchで見られるが、別に遠景ピンぼけとは見えない。

DC25は、写真を.K25というRAW形式で記録する。
RAWだから何らかの形で現像しなければいけないが、Kodakの付属ソフトは私の手元にはない。ダウンロードで提供などもされていなかった。
PC Watchの画像は当然、付属ソフトで現像しているだろうけれど、うちはあれこれ現像手段を探し、XnViewというフリーウェアを用いた。

DC25はまた、CCDがビデオカメラ用のインターレーススキャンのものを流用していて、フィールド記録方式でファイルに保存されている。
だから、RAWをそのまま開くと、500x241ピクセルの、縦方向に潰れた横長の画像が出てくる。

よって現像ソフトは縦を伸ばすように補完してから、PCで扱える画像形式に保存することになる。
1996年当時にデジカメ内プロセッサーには辛い処理かもしれない。
が、PCにやらせるのなら、Pentiumくらいのリッチな演算力があるから、画像を引き伸ばす処理をするついでにシャープネス処理もいれられる。

だから、レンズ自体のピント位置はかなり手前に寄せて、遠景のピンぼけは現像時に補正する、という設計にしたのではないか。
固定焦点レンズのカメラは、普通はかなり遠くにピント位置を置くため、近距離は写せない。1メートルくらい離れないとピンぼけする、というのが当たり前。
しかしDC25のように、ピントを手前にして遠景ボケをソフト補正するというなら、近くも撮れる。
(近景のほうがボケ方が大きいので、ピントを遠くにして近景ボケをソフト補正、というのは効果が小さい)

このカメラは50cmから撮影範囲となっているが、他のパンフォーカスのデジカメ、例えばFinePix A202は80cmからだから、寄れるのがわかる。
しかも、DC25は換算47mmの望遠寄りのレンズだから、パンフォーカスには厳しいはずなのに。
さらにいえば、実際には50cmどころかもっと近づいても撮れる。

まあ、画素数が27万画素、しかも記録されるのは12万画素分ほど、という時代だから可能だった荒業ではあるが、この頃としては、優れて合理的な発想といっていいと思う。
アメリカらしい合理的手抜きだなー、などと思ったが、この頃のKodak印のデジカメは、日本のCHINONが設計開発していたらしいので、この発想は日本人のものだろう。


口上が長かったが、今回の撮影画像は、.K25をXnViewで500x375にLanczos補完でリサイズ、その後Irfanviewでシャープネスを一回かけてJPEG保存、という現像・加工処理をした。


花の写真をたくさん撮ったが、実際、近距離でも撮れている。
マクロモードのない固定焦点レンズで、こういうのは普通撮れない。


あえて意地悪な被写体。暗所を残す方は、結構頑張る感じか。明るいと飛ぶ。


近くても写る。20センチくらいまで近づいてるカットもあると思うのだけど。
結構いい色出ているのも面白い。サムネイルだけなら、1996年の27万画素カメラとは思えないかも。


遠景は甘すぎるくらい甘いが、シャープネス一度でちょうどいい感じになる。


ガーデン内に、有名人の手形レリーフがいくつも。
字が読めるのが大したもの。
私の手は見ての通り大鵬並みに大きいので、道具が大きすぎて扱いにくい、ということはめったにない。


南海ホークスの記念館的な施設も小さいが存在する。
ちょっと暗いとノイズが出てきて、シャープネスをかけるとノイズが引き立つ。
Kodak純正の現像ソフトは、ノイズリダクション処理もかけているっぽい仕上がり。暗所にはそのほうがよさそう。


暗いバーの中で撮ってみた。
CCD感度が随分高い(ISO800~1600らしい)ので、意外に手ぶれせずに写る。
ノイズが酷かったので、IrfanViewでシャープネスを掛ける前に、中間値フィルタを一度かけてみた。


DC25の写りは以上のようなものだが、操作性などは。

ストロボ設定は、オフ・オート・強制発光の3段スライドスイッチ。
画質モードも、ノーマル・ハイのスライドスイッチ。
ボディがでかいから許されるような設計だけども、しかし、電源切ってオートに戻るなんてこともありえないし、見ればモードがわかるから、この時代ならアリだと思う。

ただ、液晶モニタはついてるのだけど、再生モードにしか使えない。
……と思ったが、ファインダーとして使うこともできるらしい、が、「DISPLAY」ボタンを押しても再生モードに入ってしまうだけ。
どうやるのかと思ったが、DISPLAYを押した後、△と▽を3秒以上押しっぱなしにするとファインダーになる。ただし4fpsくらいのフレームレート。
STN液晶でかなり質が悪いから、これをファインダーにするのは電池のムダだと思う。

光学ファインダーは上々で、アルバダ式ブライトフレームつき。
1mより近い時と遠い時で違うフレームがある。

DISPLAY→ENTER(STATUS)と押すと、バッテリー残量と残り撮影枚数が出る。
内蔵メモリ(2MB)からコンパクトフラッシュにデータを移動するのもここから。

セルフタイマーはボタンがあり、押したらすぐに10秒カウントが始まって、その後レリーズされる。

レリーズの感触はいまいち。半押しがあるのかもわからないゴムボタンっぽいもの。
パンフォーカス機だし、半押しなくてもいいといえばいいのだけど。
レリーズタイムラグは1秒弱くらいあり、記録時間も5秒くらいある。時代的に仕方ない。


ボディは今から見るとでかいが、意外と厚みはない。当時としては巨大ではないと思われる。
先代のDC20に、液晶モニタとフラッシュを追加して大型化したものらしいが、そのDC20は当時としては小型モデルだった。

困るのは電池で、CR123Aリチウム電池を2本、なんて要求がくる。こんなの買ったら、DC25を買った値段(299円)より高く付く。
フィルムカメラでよく使う電池で、うちにはフィルムカメラに入れて使ってたのがあったので、それを転用。

メモリカードはコンパクトフラッシュで、32MBは認識した。


今更機能・性能をどうこうというカメラではないけれど、このカメラを使ってみる、ということ自体が結構楽しめる遊びだった。
16年前の製品だもんね。