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2013年8月2日金曜日

模型用シンナーの分析 (エッセンシャル版)

ちょっと近頃、縁があって分析関係の勉強をしている。
大気汚染とか水質汚濁とかそっち関係の。

で、機器分析というもんを見てみるため、プラモデル用のシンナーを、GC-MSという分析器に掛けてもらう機会を得た。

前から不思議だったのだけど、プラモデル用のシンナーって、成分表示がない。
身体に悪そうだし表示義務とかないのかな、と思ったら、どうもそのへんの法規は労働安全衛生法だそうで、家庭用のものだと表示義務はないみたい。(これの3ページ)

で、結構使ってて結構吸ってるものだから、何でできてるのかは気になる。
ないと思うけどトルエンなんか入ってたら嫌だし。

そこでGC-MSにかけてみると、シンナーの成分が(ある程度)わかる。




で、プラモデル用各種シンナーの各種分析結果を見ながらあれこれ記事を書いていた。
のだけど、成分出さずに売ってるものを、勝手に分析して内容バラして、というのは何か問題あるかもしれない。
それを見た薬品メーカーが、勝手に互換品作って売り出したりとか。
(いや、そういうのを作る会社が分析器持ってないとは考えられないから、こんな素人の読んだ怪しいデータなんか参考にする意味も必要もないんだけど)

なので、この記事はエッセンシャル版とし、まあ問題にはならんであろう浅いレベルのことだけにまとめることにした。



分析したのは、ガイアカラーT-01(ラッカー塗料用シンナー)、タミヤX-20 (エナメル塗料用シンナー)、タミヤX-20A (アクリル塗料用シンナー)の3つ。
これはあくまでガス成分の分析なので、シンナーの瓶の中の空間に揮発したガスを試料にしてある。揮発しにくい成分とか、金属分とかが入ってても検出されない。
すべてがわかってるわけじゃないので、話半分くらいに。


まず、ガイアカラー。
これはそこそこ臭いもあるし、シンナーとしても模型用としては強力なので、たとえばアセトンとか酢酸エチルとか、そういうものを使ってるんじゃないか、と思っていた。
アセトンや酢酸エチルは、たとえばマニキュアの除光液なんかに使われる成分。

しかし分析してみると、アセトンや酢酸エチルではなかった。
アセトンよりも毒性が低そうな、とある溶剤が主成分だった。(アセトンだって爪に塗れる程度だけども)
毒性が低いほかに、分解されやすいので環境への影響も低いそう。
思ったより安全そうなもので、やはりおもちゃ屋で売れるものなんだなあ、という感じ。

なお、飲んでも安全とかっていう話じゃないので。それはさすがに粘膜が壊れたりすると思う。
それに、単一の成分でできていたわけでもなく、どうやら有毒なものらしい物質も少量は検出されていた。
おそらく添加剤で、量が少ないから影響を受けるほどじゃないだろうけど、わざわざ大量に吸ったら体には悪い。



タミヤX-20は、よく灯油で代用できるといわれ、やってる人も多い。
灯油は、原油を分留(蒸発する温度の違いで成分を分ける)したもので、原油由来の成分の一部がごちゃっと入ってる感じになる。

X-20も、ある程度の範囲の大きさの分子が、かなりごちゃっと入った感じだった。直鎖アルカンと構造異性体ばっかりな感じ。
つまり、原油を分流した成分だろうと思われる。

それに加えて、添加剤らしい成分もあった。
塗料の溶剤には、早く乾きすぎてはいけないとか、プラスチックの表面に弾かれないで食いつかなくちゃいけないとか、いろいろ要求性能もある。
それを実現するためには、単なる精製油だけでは無理なところもあるんだと思う。

灯油でやって問題ないと感じるなら灯油でもいいと思うけど、やっぱりX-20を使うほうがきれいに塗装できると感じるなら、その感覚は信じていいんじゃないかな。



最後にタミヤX-20A。
タミヤアクリルカラーの溶剤は、アルコールっぽい匂いがするってことで、イソプロピルアルコール(IPA)が成分じゃないか、という噂はたまに聞かれる。

で、今回の分析では、意外にイソプロピルアルコールは出なかった。
複数の溶剤成分が出てきて、特にどれを主と決めつけるほど極端な比率の差もない感じ。
これが一番、なんかややこしい感じの成分に見えた。

また、今回の調査方法(分析データの読み方)では、分子量60のイソプロピルアルコールは、ちょっと軽すぎて割り出しが難しかった。入ってたんだけど、検出から漏れた可能性も。
ただ、IPAって沸点低くて揮発が早いはず。
基本的にラッカー塗料よりアクリル塗料のほうが乾きが遅いといわれるけど、ラッカー塗料の溶剤はIPAより沸点の高いものだった。
まあ、IPAに揮発が遅くなる添加剤を加えてる可能性も否定できないけれど。



ばっさりかいつまんでしまったけれど、ラッカー=アセトン説、アクリル=IPA説がどうも正しくないっぽい、というあたり、個人的にはなかなか面白かった。
初学者が読んだ分析データの、しかも読む過程を書かずに結果だけ書いてるので信憑性は相当怪しいけれど、「そーなんやー」くらいに思ってもらえれば幸い。

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