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2013年11月9日土曜日

交通科学博物館 (Kenko DSC880DW)

大阪は弁天町の交通科学博物館も、来年春には閉館の予定。
最後の曝涼展やらやってたりするので、閉館前に一度は行っておこうということで。

今日のカメラは珍しく新品新モデル、ケンコーのDSC880DW
なんというか、ケンコーのデジカメというと、カメラの良し悪しに露ほどのこだわりもない人向けの安売り品、さもなくば、懸賞とか景品とかで意図して選ぶのでもなく渡されるもの……というイメージがある。
それをわざわざ買ったというのは、レンズの焦点距離が1.8mm、ライカ判換算で14mmF2.8というウルトラなもので、こんなコンパクトデジカメは他にそうない。

で、当然ながら14mmなんて超ワイドレンズは使ったことがない。
フィルム時代を含めても、一番広いレンズで20mmだ。


で、指を写してしまった。
ちょっと油断すれば、右でも左でも上でも下でも写り込む。
ちょっと下向きに映せば、足も写り込む。


で、油断するとすぐ、こんな円周上の虹が写り込む。

ケンコーの商品紹介ページを見てもわかるけれど、レンズの周りにシルバーの輪っか状の装飾がある。これに反射して写り込むという次第。
カメラメーカーならこんな馬鹿な設計には絶対しないところなのだけど……。


で、これだけ広角だと、使い方がなかなか難しい。
0系新幹線がまるで首を曲げたかのように。
ただ広いだけじゃなく、結構歪曲収差があって、ぷち魚眼気味なのもなお難しい。


しかし、狭い運転席をばっちり収められる素晴らしさ。
たったこの程度の光源でもばっちり輪っかが出るひどさ。

ISO感度は、100から800まで選択できた。
博物館内の写真は大体ISO800だけど、意外と画質は頑張る。
センサーがCMOSで、別に暗所に強いといったものとは思えない、単なる安作りの半分トイデジみたいなもんに使うものだろうと思う。
昔のそういうものは本当に悲惨だったけれど、今は携帯電話やスマホに使うものとして、それなりに量産されて質もこなれてきたのかもしれないな。


光源モロ入りでこんな映りに。
レンズフレアもさることながら、ダイナミックレンジも狭くてハイライトが遠慮なくぶっ飛ぶ。

また、この写真はExifでは1/4秒のシャッタースピードとなってるけど、等倍で見たってほとんどぶれていない。
指を写しこまないようにつまみ持ちをして、結構重いシャッターボタンを押し、それで手ブレさせないような技術は私にはない。
もしかすると、ベース感度50で側光したシャッタースピードがExifに記録されて、実際はISO800相当の1/64秒で露光して16倍増感、とかになっちゃってるかも。


これもExifで1/4秒。
この写真がちょっとアンダーっぽいことも考えると、ISO800のExif 1/4秒が露出下限かも。それ以上に遅いシャッタースピードの写真はなかった。

なお、安物のCMOSセンサーのカメラは、センサーの読み出しに時間がかかる(だから動くもの撮ると曲がる)。
ということは、CCDやフィルム、良いCMOSならフラッシュは一瞬光ればいいけれど、安いCMOSだと、そのゆっくりした露光の間中ずっと光り続けなくちゃいけない。
すると、フラッシュを使うとものすごく電池を消費することが予想される。

そのせいだと思うけれど、このカメラは初めて起動したときからフラッシュ禁止がデフォルト。
まあ、強制オートフラッシュみたいな鬱陶しい仕様よりははるかにいいな。



屋外展示のC62。
本当にこれだけ広いと撮影が難しいな。


食堂車を転用したレストランがある。
ここも、来春には二度と入ることができなくなるので、入ってみた。
基本的に家族連れ客が多い博物館(展示自体は結構大人向けでマニアックだと思うんだけど)なので、カレーもごく甘口。給食のカレーみたいだ。

このカメラはパンフォーカスなのだけど、レンズが超広角だけあって、最短撮影距離は15cmからとなっている。
まあ、この程度の寄り方はできる。



義経号の実物。
真横からまっすぐ撮ると、歪曲収差が大きめなのがわかる。

色がやや水色っぽく転ぶのは、水色っぽいガラス越しの撮影だったため。
正直オートホワイトバランスはまったく信用していなかったけれど、基本的には補正不足はあっても補正過剰はあまりなさそう。許せないほど変な色にはならないか。


こんななんでもないカットのようでも、ここは手前が広場で大勢の子供が遊んでいる。
28mmとかだと、列車3両を全部収められる距離だと、子供がレンズの前を横切る。
14mmであれば、子供が入らないように撮るのはかえって楽だった。


やっぱちょい魚眼よね。


これは、大阪駅(三代目)の鉄骨だけを組み上げた模型。スケールは忘れた。
珍しく水平・垂直がだいたいよく取れた。うまくいくと面白い絵になるのだけど……。


交通科学博物館が閉鎖したあと、モノは梅小路蒸気機関車館に移されるらしいんだけど、立ち話している係員さんの話を耳にしたところでは、鉄道以外の展示品、シルバーピジョンとかスバル360DXなどのクラシックカー・バイクや飛行機などは行き場未定とか。
あくまで立ち話が聞こえただけだからオフィシャルな話でもなんでもないし、今後どうなるかもわからんけれども、惜しい話ね。



ぜんぜん関係ないが、天下の朝日新聞社様の新ビル。

ここで、一部の等倍切り出しをチェック。


ビルの感じを見ると、なんとなくジャギーがあやしい。
どうも、低価格デジカメって、500万画素とか800万画素とか言い張ってるけど、それは記録画素数であって、実際はより少ない画素数のセンサーから拡大して記録しているだけっぽいものがある。
これもねえ。拡大っぽいよねえ。

記録モードは、1600万・800万・500万・300万・VGAと選べる。
いい加減なテストしかしていないけれど、500万ならまあ、拡大くさいジャギーは一応消えるかな。
多分実態は500万か、もしかしたら、300万画素かもしれない。


また、レンズが少々偏心してるっぽい。うちの個体は、画面下のほうがボケ気味。
やっぱり製造レベルも厳しいか。


DSC880DWは、まあ、値段が約7000円ということもあって、かなりおもちゃデジカメに近い。
型落ちのカシオやパナソニックのローエンドモデルが7000円くらいで買える時代だから、ケンコーのような商売には苦しかろう。

同じくケンコーは、pixmo DSC180という5000円くらいのデジカメを売っている。
多分、これをベースに、付加価値を乗せていったのがDSC880DWだと思う。

DSC880DWは、小癪にも3m防水。
で、水中だと水と空気の屈折率の違いから、レンズが望遠寄りになってしまう。大体1.3倍くらいらしい。
だからレンズは広角の方が喜ばれる。そこに14mmなんてウルトラワイドを乗せれば、1.3倍にされたって18mmくらい。まだまだ超広角だ。

そして、もう一つ変な芸があって、液晶モニターが背面だけじゃなく、なんと前面にもついている。
自分撮りは、男の私にはさっぱりわからんけれど、女性がカメラを買うと実に98%の人がやる(当社調べ)
そして、自分撮りでちゃんとフレーミングができるようにするのは、昔からのアイディアの盛りどころだった。
ペンタックスは、液晶画面が左側のヒンジからくるっと回って前を向く、自分撮りにしか使えないバリアングル液晶のOptio 230を出した。カメラ前部に鏡を付けて、自分が写るようにしているものはいくつかあった。
前にも液晶を付ける、というのは、小細工の極北といっていい。

で、14mmという超ワイドレンズは、自分撮りでも腕をいっぱいに伸ばす必要もない。伸ばし方次第で、自分の写る大きさをコントロールできる。
あるいは、連れと一緒にふたりで写ることもできる。
建物などを背景にしたって、そっちもちゃんと写し込める。フレーミングは前面液晶で完璧にやれる。
昔コニカが、WaiWaiワイドという17mmの超広角を載せたレンズ付きフィルム、なんてものがあったが、あれもコンセプトは自分(たち)撮り


そう考えると、「防水」「14mm」「前面液晶」というトンデモじみた設計は、みっつ合わせると実にはっきり意図を持って作られたのが見えてくる。
ケンコーが考えたのか、中国のOEM先が勝手に企画だしたのかわからんけど、こんなん思いついて商品化しちゃうとは。素晴らしいな。
まあ、製造品質の頼りなさとか、レンズ周りの銀ピカ装飾とか、頼りない部分はあるけれど、こんな愉快なもん商品化してくれたのは痛快だ。

しっかりしたカメラとしてこういうの作ってると、やっぱり高くついちゃうと思う。RICOH THETAが5万円になっちゃうわけだし。
フィルムカメラだったら、アイディア一発勝負みたいな変態カメラが色々あるもんだけど、デジカメでもそういうことがやれる時代になんかもしれないな。


カメラとして駄目すぎて使いようがない、という心配があったんだけど、まあ、水準は低いとはいえ、そこまでひどくない。
画質もまあ、デジカメだと思えば悪いけど、携帯やタブレットのカメラなんかもっと酷いのいくらでもある。
撮影後の記録待ちとかも、別に長くない。
ちょっとレリーズタイムラグがある感じだけど、それはプレビューが出るまで落ち着いて待てばよし。AFなし・メカシャッターなしなので、いつシャッター切れてるかわからんせいもあるかも。


その他、細かいところ。

操作性がちょっと異様。
十字キーが存在せず、ズームレバーで上下、縦並びの4つのボタンの上ふたつで左右を操作し、決定キーはシャッターボタン。
と思わせて、再生モードではズームレバーで拡大縮小、拡大時はボタン上ふたつで左右移動・下ふたつで上下移動。
電源オンが、電源ボタン長押し(しかも1秒以上とかなり長い)というのが惜しい。結構待つ。電源オフも同じで、やっぱり結構待つ。

また、設定保持のキャパシタを持っていないようで、電池抜いたら時計が飛ぶ。
で、電池とMicroSDカードとMicroUSBコネクタが同じ蓋の中にいる。
どういう手段を取ろうと、データ転送をするときには時計が飛ぶ。
まー、防水パッキンを増やしたくないんだろうから、値段も踏まえると強くはいえないけれど。
なお、電池なくてもUSBケーブル挿したらカードリーダーとして動作する。マスストレージでドライバなどは不要。

電池は単4が2本。
amazon basicsの多分エネループっぽいのを、買ってそのまま入れて、ちょっとだけゲージが下がった状態のまま、4時間120枚くらい撮影して、減少は見られず。



極端に逆光に弱すぎるのは、まあ、超広角ゆえの仕方ない部分はあるとして。
装飾に関しては、メッキを剥いでつや消しブラックに塗装するのがよかろうと思う。
また、手でハレ切りすると少しだけフレアが減った気がするので、遮光加工ができるかもしれない。

うまく改造できたら、またレポート予定。

2 件のコメント:

  1. > レンズの周りにシルバーの輪っか状の装飾がある。これに反射して写り込む

    あの虹は普通にゴーストじゃないですかねー。「装飾写り込んで虹」ってさすがに冥土inチャイナでもやらないと思いますが。。。 EF50mm F1.0L USMの盛大な虹ゴースト思い出してなんだか懐かしい気分

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  2. ええもう、仰るとおりで、この後あれこれいじってたら違うかと思って、飾りを黒塗りにしたりしても変化なかったんで、縁の反射じゃなさそうでした。

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