昨年もGWに福岡だったものだが、しかし別に博多どんたくが目当てではない。
新大阪から新幹線に乗り、一路博多へ。
12時半の到着なので、昼食はちょっと早めに駅弁で。
岡山駅を過ぎたあたりでやってきた車内販売は、「幕の内弁当 夢二」という、竹久夢二にちなんだもの。岡山ではもっとも売れ線のものだそう。
内容は、ソーセージやミートボールから焼き鮭に鶏肉、練り物類と、肉魚の類が和洋ともにたくさん入っていて、現代化してるなあ、というか、お年寄りから子供まで対応しようとしたのかな、というか。
福岡駅に着いて、久しぶりにきたなーと感慨しつつ、すぐ地下鉄の方へ。
地下鉄空港線に乗って中州川端へ、そこから箱崎線に乗り込んでずっと終点まで。
着いたら、西日本鉄道貝塚線へ連絡している。
西鉄600形という、昭和っぽい電車がいた。
古いようだが、これでも貝塚線では新しい車両だそう。といっても、1962~72年にかけて作られたものだから、40~50年は走っている。
他に313形という、1952年製のおじいさんがいるそうだ。
車両は古いのだけど、貝塚駅に近い都心寄りの線路は高架化されており、駅も近代的。
ちょっと車両と駅に時代のズレを感じなくもない。
終点の西鉄新宮駅まで到達。
かつては宮地岳線といって、さらに遠くまで海沿いを走って行っていたが、ほんの2~3年前にこの新宮駅から先が廃止された。今でも、線路跡っぽい景色がある。
日本一巨大な注連縄で知られる、宮地嶽神社という有名な神社があるほうに向かっていて、まだ走っていたら行ってみたかったな。
駅から北、海の方へいくと松林が広がっている。
楯の松原という名前が古くからあるそうで、名前通りに防風林として植林されたものだそう。
そんな松原の中に、新宮神社がある。
鎮守の森があるのは当たり前だが、松林に囲まれているというのは珍しいかもしれない。
祭神は墨江三前神。いわゆる住吉三神のことだから、海沿いらしい祭神。
このあたりに上府・下府というふたつの村があり、ともに新宮神社を産土神としていた。
しかし神社の運営で意見が割れ、下府村の側がここに分社することになった。
貝殻に砂を詰めて捧げていた。
明治の頃の神社統合の動きで、あたりの神社がここに集められて境内末社になっている。
駅に戻ると、さっきの電車がまだ出ずに待っていたので乗り込んでしまう。
途中の和白駅で下車して、JRの海の中道線に乗り換え。
JR和白駅には、跨線橋。
橋上駅舎はしょっちゅう見るのだけど、こういう単機能な跨線橋は自宅近くじゃあまり見覚えがない。地下道になってるか、構内踏切ばかり。
でもって、やってきたキハ47形。
海沿いを走るだけあって、潮風にやられてるんだろうか。少々ぼろい。
キハ40系は77~82年製造らしいので、西鉄600形より新しいくらいなのだけど。
車内の手作り感ある沿線案内が良い。
そしてそのまま海側の終点・西戸崎駅へ。
駅近く一帯が海の中道海浜公園になっているので、そっちへ。
ちょうど無料開放デーだったようで、人がいっぱい。福岡の家族連れがちょっと来るのに手頃な近郊の遊び場、という感じで、人気のスポットなのだろう。
園内はかなり広大で、バスが周回している。
面積で……大阪城公園の5倍くらいあるだろうか。
園内に遊園地もあり、観覧車が目立つ。
観覧車近くの花壇が、上から見るとなにかのデザインになるのかなあ、という雰囲気。
家族向け・子供向けの施設が多い感じの公園に見えたが、遊園地近くというか遊園地の一部に、日本の名車歴史館というのが現れた。
外見ではまだ子供向けに見えるのだが……
入り口にいきなりこれ置いてるような施設が、子供向けであろうか。
お父さんがこれに吸い込まれ、子供が退屈してぐずり、お母さんが激怒する様が目に浮かぶようである。
フロンテ! ファミリアクーペ!
大薮春彦のハードボイルドアクションでしばしば主人公が盗んで使うことでおなじみのブルSSS!
二輪もあるよ。陸王まで。
コスモスポーツ!
30過ぎの私ではどれひとつとして現役当時を知らない車ばかり、40歳前後でも多分厳しい。(現役時代を知っているかどうかは、別に楽しめる楽しめないを分けないけれど)
全部かどうかわからないが、動態で保存されているものもあるようで、初代ホンダ・バモスのシートの上に点検表が置いてあった。タイヤの空気圧やエンジンの始動など確認しているよう。
それが所狭しという密度で並んでいて、そう広い施設じゃないが、車好きなら濃密に楽しめる。
旧車に満足して、公園を東側へ行くと、海の中道線の海ノ中道駅がある。
30分ほど待ち、しかも公園の混みようを反映してかなりの混雑。
次の目的地は、この列車にそのまま乗って端っこの宇美駅まで。
海の中道線、といわれるのは途中の鹿児島本線との連絡駅である香椎駅まで。そこから先は本名に戻って香椎線。
しかしこの路線はなんというか、駅での停車時間が長い。香椎駅なんか特に、15分くらい停まってたような……。
西戸崎から宇美まで25.4km、でも1時間以上かかった。
宇美駅は、さすがにローカル線の端っこらしく、駅前にスーパーマーケットがある住宅地の風情。
しかしかつては勝田線という路線も来ているターミナル駅で、駅前広場が広くとられているのはその跡地を利用したからだそう。
ちょうどこのあたりで昔暮らしていたという方から、30年ほど前の話を聞けた。
勝田線は、糟屋炭田というところから石炭輸送も行う路線だったそう。宇美駅も輸送事業のため大きく、炭鉱労働者で賑わっていた。
30年前にはもう糟屋炭田は閉鎖されて久しく(1964年に完全に閉山されている)、勝田線も赤字ローカル線化していた。
まだ残る炭鉱長屋で育ったそうで、その頃にはボタ山もまだあったとのこと。山崎ハコの歌の世界や。
ボタ山は一度見てみたいのだが、今でも糟屋炭田跡でボタ山を保存してあるとか。
で、駅からちょっと歩くと宇美八幡宮という神社がある。
何しろ、神功皇后が三韓征伐の帰りに応神天皇を生んだ地であり、宇美という地名も「産み」からくるという。
八幡宮なので、祭神はもちろん応神天皇。
祭殿も立派。
それからご神木がすごい。
これは、応神天皇誕生の折に御衣を掛けたという衣掛の森。
こちらは湯蓋の森。
応神天皇の産湯を使ったところだが、そこにあった木が大きくなって湯桶を覆うくらいになったので、湯蓋と名がついた。
摂社に湯方の社。
手前に子安の石を盛ってあるが、お産の前にこの石を預かって持ち帰り、無事出産したら別の石に子の名前を書いて成長を祈願して、初宮詣の時にふたつの石をまた納める、という習わしがある。
お社には、応神天皇の産婆役・湯方殿が祀られている。
特に神功皇后を祀る聖母宮もある。
隣接して、宇美町の歴史民俗資料館も併設されている。
これは割とよくある、古い暮らしを紹介したり、町の歴史を紹介したりという施設。
書く道具についてまとめた展示があり、筆や万年筆からタイプライター、ワープロ、パソコンと並べてあった。パソコンがPC-9801UVだったり。
また香椎線に乗り、今度は香椎神宮駅まで。
やはり香椎宮は見て行かないと。
香椎宮(かしいぐう、あるいはかしいのみや)だが、JRの駅は香椎神宮駅。天皇を祀るから神宮だと思ってしまったのだろうか。
祭神は仲哀天皇、神功皇后、応神天皇、住吉大神。
仲哀天皇がここで亡くなって、その例を神功皇后が祀ったのが始まり。
楼門があるが、しかし木がかかって写真がむずかしい。
境内摂社に武内神社。武内宿禰を祀る。
神功皇后や応神天皇を祀るならこの人ももちろん、というところか。
変わった造りで赤が鮮やかな社殿。
本殿は香椎造というここにしかない造りのもの。
写真に納めるのが難しい。
拝殿の真ん前には、「綾杉」というご神木がある。
神功皇后が200年に植えたとされる大樹。新古今和歌集にも「ちはやふる香椎の宮のあや杉は神のみそきにたてる成けり」と歌われる。
宇美八幡宮といい、ご神木の立派な神社はいい。
大正時代に皇后陛下が戦艦摂津をお召し艦として香椎宮に詣られたので、その時に砲を奉納した。
裏手の方に、古宮跡の看板を見つけて、参道を伝って入っていってみる。
今の香椎宮は、724年に仲哀天皇・神功皇后を祀る神社の新宮として建てられたもので、その時からもっぱら参拝客はそちらに行くようになった。
時代が経つに連れて、いつのまにか元宮は忘れられ、新宮の祭神も神功皇后だけになってしまった。
そこで、仲哀天皇はこの古宮大明神に祀ることになった。
古宮大明神も、大正時代になって仲哀天皇の神霊が香椎宮に移されることになり、今はもう玉垣しか残っていない。
古事記にある、仲哀天皇が暮らし天下を治めた訶志比宮は、この場所という。
仲哀天皇が亡くなったとき、神功皇后が棺をこの椎の木に立てかけて御前会議を行ったが、棺から良い香りがただよい、香椎という地名の由来になったといわれる。
ここから、西鉄香椎宮前駅まで歩いていく。
結構離れているのだが、途中に大鳥居があったりして、参道なのがよくわかる。
宿は渡辺通駅近く。
この渡辺通駅というのがまた、地下鉄七隈線というところで繁華街の天神から一駅……というのがアクセス良好なのかと思ったらさにあらず。
西鉄や地下鉄空港線の天神駅から、七隈線の天神南駅まで、1キロは離れていた。
福岡に来るからにはここに寄りたい。
BAR ラジカルは地下鉄西新駅から行くのだが、七隈線乗り換えの遠さの影響で、アクセスが想像以上に悪い。
結局、宿からここまで40分はかかった。今度くるときは天神に宿取ろう。
一年ぶりだが顔を覚えていてもらえて、色々話しつつ楽しく飲んできた。
そして帰りはバスを使えばいいとアドバイスを貰い、目と鼻の先にあるバス停で待つ。
7分ぐらいで来るなー、と思ってたらそのバスが何時まで経っても来ない。
どうも、ミスチルのコンサートがあったようで、その客を拾うために最終バスを遅らせまくっていたようで、到着したのは29分遅れ。
実に35分以上待つはめになったが、同じく待たされていたご婦人と世間話しながら過ごした。
大体旅行ではあまり人と話さないが、今回は珍しくよく話す。
宿に戻って夜を過ごす。
いつも旅行に行くときはLet's Noteを持ちだしたりしていたものだけど、今回は電子機器の大幅縮小を企ててみた。
ノートPCは、富士通のWindows 7ケータイ F-07Cにしてしまう。
カメラは、携帯性優先でKodak Easyshare Mini。本を持ち歩く代わりに、Kindle。
これらは、モノ自体のサイズが小さいというのも大きいが、電源に専用のACアダプタを使わなくてよく、USBで充電できる。
ホテルは有線LANを提供するところが多いが、F-07Cは有線LANが使えない。
なので、ポータブルタイプの無線LANアクセスポイントを追加しなくちゃいけないが、これもUSB電源で動いて、サイズもACアダプタよりかさばらない。
で、USB-ACアダプタを持っていった。1個口ひとつと2個口ひとつ。
全部あわせて1kgちょっとくらいに収まっただろうか。
というようなもので実際に運用してみた。
しかしここで、電気街で適当に買った中国製USB-ACアダプタがひどい出来で、出している電流が相当怪しい。無線LAN APが動作しない。
あんまりいい加減なもの買ってはいけないな。
ともあれ、ちゃんとF-07Cを無線LANで使い、カメラを充電して翌日に備えられたので、十分運用可能か。
USB-ACアダプタをまともなものにするとか、もうちょっといいカメラにするとか改善の余地はあるけれど。