注
この記事は、一受験者が、自分でテキストなどから調べて答えを出して書いたものです。そもそも答えが間違っているかもしれず、また解説が的外れな可能性はもっと高いです。
受験の参考にする場合は、くれぐれも疑って掛かった上で、テキストを参照して正しい内容を確認しながら(平成25年度版の参照すべきページを記載してます)、丸覚えではない使い方をしてください。
学生さんが宿題・課題に丸写しするなどの利用は、別に止めはしません。
ただ、ここ数年の公害防止管理者試験はかなり難しくなっています。試験合格を目標としているなら、しっかり勉強して挑まないと厳しいと思います。
平成25年度の水質四種の合格率は9.9%。合格率だけで見れば環境計量士よりはるかに厳しいような数字です。
公害防止管理者のための勉強は、環境計量士にもかなり使えます。合格できれば、作業環境測定士試験の、難しい分析概論の科目免除も受けられます。
まあ丸写しも止めないけど、まじめにやって損はないよ、と言っておきます。
*
公害防止管理者、という資格試験を受けてました。
工場排水とか排ガスとかが環境悪化につながらないように管理したり検査したりする技術者で、製造業の工場なんかには有資格者を置いておかなきゃいけない。
工場あるかぎり必要になる資格なので、まさにその職にある人も狙うし、化学関係を学ぶ学生さんが取ったりもする。
世間的にはさほど知名度高くないけれど、しかし方面によってはポピュラーな資格。
資格は、大気、水質、騒音・振動、ダイオキシン類の4つに分かれていて、私が受けたのは水質。
その中でも、一番下っ端の第四種。
第四種を基本にして、特に有害な物質も取り扱える第二種、特に大規模な排水を扱う工場にも対応できる第三種、両方いける第一種と分かれている。
まあ、排水はどこからでも出るから需要は多いはず。
すでに有資格者が多すぎるから、これ取ればすぐ就職できるほどでもないけれど。
で、比較的水質は簡単ということで、化学関係初学者の私が、この半年まじめに勉強していたことを証明するために腕試しに受けてみた次第。
で。
なんだか昨年からこの試験、急激に難度が上がって、合格率も急に下がった。
今まで20%くらいあった合格率が、一気に12%くらいまで落ちたとか。
公害防止管理者は、いってしまえば居なければ工場が操業できなくなるような資格だから、あまりにも門戸を絞りすぎるのもまずいはず。
だったら、反動で今年は簡単になるか、せめて一昨年までと同等くらいになるんじゃないか……と期待したら。
甘かった。
平成21年度の問題を模試代わりにやってみたら、80%~90%くらい取れていた。(平成24~22年度の問題はさんざん過去問として勉強した)
ところが今回の自己採点では、「公害総論」の科目が15問中9問と、合格ラインといわれる60%ちょうどしか取れていない。他の2科目も7割程度。
どう見たって問題の出し方がいやらしく、明々白々に難易度が上がっている。
かつては計算問題に必要な数式が示されている場合があったのに、今回は一切なし。
過去4年間の過去問で一度も触れていないような問題が多かったし、過去問で触れていたことでもさらに深く突っ込むような出題ばかり。
おそらく今年も合格率10%前後になりそう。
もしかすると私も不合格で、来年受験し直すことになるかもしれないので、今年の試験問題を振り返っておく。
たまたま検索でこのページを見た人の役にも立てばいいな。
回答自体は産業環境管理協会のサイトで出てるので確認のこと。
問題は全文書き写したりはしないので、受験者の方は手元に。そうでない方は、多分近いうちに産業環境管理協会のサイトに公開されると思うので。
1.公害総論
問1.
環境基本法の条文の抜粋に5箇所アンダーラインが引いてあって、そのうちひとつが誤っているという問題。
これは(2)と(3)が競合しているから、どっちかが誤りなのは見える。
(2)は「市のことは市長がやる」というもっともらしい話。(3)は都道府県知事がやるんじゃないか。
と考えて、その通りだった。
問2.
土壌汚染対策法の条文の虫食い問題。
過去のこの手の問題は、日本語的に素直になるようにすれば正解というのが多かったと思う。
で、私はこれを(4)と答えてまったく疑わず、正解は(5)だった。
そう言われてみると(5)のほうがよほど日本語として素直だ。
そもそも、水質汚染と土壌汚染は関係が深いから、土壌汚染対策法の問題でコケるのはよろしくないなあ。
問3.
環境基本法と関係ない用語を選ぶ問題。
これはまあ、(4)がどう見てもグリーン購入法の用語だから簡単。
問4.
公害防止管理者法についての問題。
自分がなろうとする資格者についてのことくらい知ってろ、ということで、例年よく出るような問題。
解任されてから3年間ではなく、2年間が正しい。よって(5)が正解。
問5.
公害防止管理者を選任しなければいけないのに選任しなかった場合の罰則についての問題。
「新・公害防止の技術と法規 2013 水質編(以下「テキスト」)」の45ページからの、公害防止管理者法の概要を書いてるページには、罰則のことなんて書いてないのよね。
わからなくて、確か何かで見た気がする20万円という金額を信じて(3)にしたけれど、正しくは(2)の50万円以下の罰金。
問6.
大気汚染の現状についての問題。
過去問にもよくある問題ではあるんだけど、こういうのが出るときは割とわかりやすい正解が見えるように出題されていたと思う。
今回は、それこそ各種大気汚染の概要をひと通り覚えてないと答えきれない。
大気関係で受験してる人はいいけど、他で受験してると痛い。
私は、まあ二酸化硫黄は燃料中の硫黄分から燃焼時に発生するものだから、自動車から出ないわけもないだろうと思い、一般局と自排局で値が同じ、という(1)を選んで、間違い。
テキストでは、どっちも0.003 ppmと書いてあった。
ただ、「同じ」とは書いてない。「丸めれば同じだけど実際に同じ数値というわけではない」という理屈で出題ミスにならんやろかw
まあ、最近はガソリンや軽油の脱硫技術が進んでおるのでしょう。
この問題、発表されている正解は(5)。
確かに、微小粒子状物質の達成率は、一般局で32.4%、自排局で8.3%とある。
言われてみれば、中国から流れてきてると大騒ぎになった時に確認してみたら、日本国内でもPM2.5はかなり出ていて環境基準未達が多かった。
試験当日に思い出せればなあ……。
あと、光化学オキシダントの環境基準を達成できた測定局はゼロ、という(3)も、テキスト56ページのグラフを見ると、そのようになっている。
出題ミスってことで全員正解扱いにならんやろかw
問7.
大気中の浮遊粒子状物質の問題。
これは消去法でも解けると思う。上の4つはそうひねった出題でもない。
正解の(5)は、2.5μm以下の微小粒子が、物を粉砕するくらいでそんなに大量に出るとは思えない。
割と素直な問題と思う。テキストでは56ページ。
問8.
大気の汚染に係る環境基準が設定されていない有害大気汚染物質を選べ。
これ大気関係で受検する人にはサービス問題だろうな。
ベンゼンはまあそれっぽいとしても、他は全部有機塩素化合物だっていういやらしさ。
テキスト57ページの、「有害大気汚染物質」に書いてあった。
(3)の1,2-ジクロロエタンは指針値というのだけ定められているそう。水質でいうところの要監視項目みたいなやつか。
問9.
公共用水域の水質測定に関する記述として、誤っている物を選ぶ。
これは水質で受けてる人にはサービス問題で、(1)が正答。
人の健康の保護に関する環境基準は27項目。20項目じゃ明らかに少ないのが、水質のひとにはわかる。
テキストでは59ページあたり。
問10.
水質汚濁物質の発生源について、誤っているものを選ぶ。
これも水質の受験者にサービスで、正答は(3)。消去法でも解けそうだけど。
りんの排出量は少ない。有機物40 : 窒素 10 : りん 1という比率。
テキストでは63ページ。
問11.
騒音について、誤っているものを選ぶ。
風力発電の風車が、人の耳には聞こえないような20Hz以下の低周波騒音を出して、それが健康に影響を与えているので、これは(4)が正答。
わりと有名なことかなあと思ったのだけど、私が太陽電池メーカーなんかに勤めていたせいで、環境ネタに注目していたせいかもしれない。
問12.
産業廃棄物の業種別排出量の問題。
これは厭味ったらしい出題の仕方で、私はちょっと古めの過去問で「電気・ガス・熱・水道>農業・林業>建設業」というトップ3の順位だけ覚えていた。
しかしこの出題では「多い順に並べた時正しい順番になっているものを選べ」となっていた。
トップ3だけ覚えてるヤツを混乱させる気の問題なのが明らかで、私は実にしっかり釣られた。
最近になって排出量の順位が入れ替わったりもしていないので、1位・3位・4位の順で並んでいる(2)が正解。
テキストでは70ページあたり。
問13.
略語とその内容説明の組み合わせを選ぶ問題。
まあ、PRTR = 化学物質排出移動量届出、MSDS = 化学物質等安全データシート、TEQ = 毒性等量はわかる。
TEQはダイオキシン関係くらいしか使わないと思うけど、TEQがわからなくても解ける。
正解は(1)で、特に困らない。
ただ、テキスト冒頭に略語リストのページがあるのに、そこにSAICMとGHSは載ってなかったぞ。
問14.
ダイオキシン類について、誤っているものを選ぶ問題。
ダイオキシンの排出量は、問題になって測定を始めて、一気にそこらじゅうの焼却炉を廃止したりでものすごい勢いで対策が進められた。
半分なんてあっという間に削減されたし、今は98%も削減されている。
よって正解は(5)。
問15.
リスクマネジメントに関する用語の問題。
(1)の「ハザード」は、リスク源のことを指す。
よく考えたら、津波が問題になったときにハザードマップがそこらじゅうで作られたもんで、あれは津波が来た時どこがどれくらい危ないか、つまりリスク源をマップ化したもんだった。
私はわからなくて(3)とか選んでしまって。
ここまで、私は9問正解の60点と思う。危ないなあ……
例年なら、地球温暖化問題とか京都議定書についての問題があるんだけど、まー、震災以来、温暖化問題は見ないことにしてるみたいだし、まるごとスルーされてたなあ。そんなんでええんかいな国家資格。
7.水質概論
問1.
水質汚濁防止法に規定する指定物質はどれか。
指定物質には塩酸、硫酸、水酸化ナトリウムあたりのわかりやすい強酸・強塩基が入ってるので、(3)の硫酸で正解。
あるいは、他の選択肢はどれも健康項目なので、消去法でも解ける。
テキストでは155ページ。
問2.
有害物質貯蔵指定施設についての問題。
なんでこんなとこ聞いてくるんだ、っていうような問題。正解は(2)らしい。
一応109ページに少し記載はあったのだけど、詳細な記載は見つけられなかった。多分法規編のどこかを調べなきゃならんのだと思う。
こんなところまで聞いてくるなら、もうテキストと関連法規のすべてを記憶でもしなけりゃ無理だわ。
問3.
公害防止管理者法でいう汚水等排出施設に該当しないものはどれか。
特定施設は、電気・ガス・熱供給業か製造業(加工業含む)の業種に供される施設が対象。
洗濯業は対象外。よって(5)。
問4.
公害防止管理者が管理する業務。
これも毎年出るような問題だけど、例年とは変えてある。
正答は、(2)の「汚水等排出施設の使用の方法の監視」。
異常な使い方をしてトラブルを起こす、ということがないように監視するのも仕事になってそうなもんだけど、そうでもなかった。
測定機器の点検および補修、というのは、過去問では選択肢に出ていないが、これは公害防止管理者がやる。
測定機器の点検とか補修なんて、きちっと校正ができる専門業者がやるべきことだと思うんだけど、公害防止管理者がちゃんとそういう専門家に依頼するのが仕事だそうだ。
テキストでは46ページあたり。
問5.
2000年以降の環境基準および排水基準の変更に関する記述として、誤っているものを選ぶ。
まず環境基準として国の一律排水基準が定められていて、特にそれより厳しい上乗せ排水基準を自治体が条例で定めることができる……ということなので、(4)は間違い。
私は、まさか環境基準が緩められるなんてこともないだろう、と思い込んで(5)にしてしまった。1,1-ジクロロエチレンはそうらしい。大した毒性がないのがわかったんだろうか。
問6.
水質汚濁の歴史に関する問題。
新潟県阿賀野川といったら、新潟水俣病だから原因物質はメチル水銀。よって正答は(4)。
これはまあ常識の類だ。
問7.
周辺海域における海洋汚染について、誤っているものを選べ。
私は、周辺海域なら液体の有害物質ならちょっとやそっと流出したって、まあ拡散しちゃって問題にはなりにくいはず、と読んで、(2)を選んで正解がとれた。
廃棄物が流れ着いて問題になるような話はよくあるんだし。
テキストでは62ページ。
過去には、海上保安レポートの話なんて全然出てなかったのになあ。
海洋汚染一般の話、と捉えれば、押さえておくべきところなのはわからんではないけど……
問8.
水質指標に関する問題。
これは消去法で解ける。(1)~(4)はどれもわかってて然るべき。
(5)のジェオスミンは、異臭味物質だそう。
問9.
川に有機物が流れ込んだ時に、溶存酸素量がどう変動するかの問題。
テキスト162ページにある。
有機物が入って微生物が活動する。すると溶存酸素が減る。有機物が分解されつくしたら、水面から再曝気してまた溶存酸素が増える。そのうち元通りくらいになる。
そういうグラフは(3)しかない。
問10.
有害化学物質の人体影響に関する記述として、最も不適切なものを選ぶ。
テキストでは195ページあたり。
私はたまたま「重金属とかの毒性をちゃんと把握できてない」と気付いて総ざらいしなおしたから、HCHのことも見ていて、無事(1)で正解を拾えた。
HCHは、特に残留性が高い異性体も含まれた商品が日本で市販されてしまって、それで問題になったことがあるとかで。
私は2問間違っただけ。
しかし、問7・10あたりは偶然解けただけだから、この幸運がなければ十分危なかったと思う。
なんというか、一応試験範囲はテキストだというけど、重要な部分とそうでない部分のメリハリがないような出題をしてくるんだったら、それこそ全部まる覚えでもするような勉強法しかやりようがないよなあ。
意図的に出題難度を上げてるんじゃなければ、出題センスが悪いと思う。
8.汚水処理特論
問1.
汚水処理計画に関する記述として、誤っているもの。
向流多段洗浄を採用したら洗浄効率は上がるはずで、だったら洗浄排水の濃度は上がる。なので、(3)が正答。
問2.
水中の油滴の上昇速度を求める計算問題。
ストークスの式を使う問題は割と毎年出てる。
まあ浮上か沈降かで符号が入れ替わるけど、別に逆にして計算しても値は変わらないので。
ただ、gとかμとかが与えられていないのがいやらしい感じ。
まあ、gは重力加速度、μは水の粘度なので、特に油滴の条件で変動する値ではない。
なので、g = 1とか適当に数字を入れて、油滴密度ρ = 0.90、油滴直径d = 0.015、水密度ρs = 1.0、上昇速度v = 0.12と入れて、μについて解いてやる。
すると、μ= 0.00001くらいになる。
で、g = 1、μ = 0.00001、油滴密度ρ = 0.95、油滴直径d = 0.010、水密度ρs = 1.0、としてvを計算すると、0.02666...と解ける。
よって正解は(2)。
問3.
APIオイルセパレーターの計算問題。
浮上速度が0.12 cm/s = 0.0012 m/sなので、水槽の深さ2.0 mを上昇しきるのにかかる時間は1667秒ほど。分に直すと27.8分。
水平流速が0.9 m/分なので、0.9 × 27.8 = 25。
よって(2)が正解。
浮上分離のオイルセパレーターでも、沈降分離の横流式沈殿池でも、どっちでも同じような計算で解ける。よくある問題。
問4.
加圧浮上分離に関する記述として、誤っているものを選べ。
浮上分離なんだから、水面近くから処理水を取り出したらおかしい。
これは簡単に(5)とわかる。
問5.
コゼニー-カルマンの式の問題。
こういう式があるのはわかってたけど、内容まで覚えてなかったな。
多分、過去問でも内容までは出題されてなかったと思う。今まで聞いてこなかったようなことまで聞いてきてる傾向がある。
h0がろ過抵抗、μが水の粘性係数、uがろ過速度、Lがろ材層厚さ、dがろ材粒子径、εがろ層の空隙率。
なので、ろ過速度uは2乗するようにはなっていない。よって(3)が正解。
問6.
水酸化物の沈殿を作って金属イオンを除去する処理の問題。
最近なんだかよく出る。
この問題は、そもそもこのグラフからイオンの価数が読み取れるところがないので、(2)が正答。
鉄イオンだと勝手に決めつけたとしても、(OH)2と(OH)3が逆よね。
問7.
標準酸化還元電位の高低の問題。
こんなもん全部覚えてるわけねえだろう、というような問題。
過去問で、(4)と(2)と(3)の3つがどの順で高いか、という形で出題されたことがある。
で、(4)のオゾンは高い。(2)の過マンガン酸イオンもBODの酸化に使うんだから高い。(5)のCl2もアンモニアを酸化してクロロアミンに還元したりするから高い。
残りのふたつはもう覚えてるしか答えようがない。
私はここまで絞って(3)と答えて間違い。正しいのは(1)。
テキスト269ページに標準酸化還元電位の一覧表があって、右上のわりと目立つところに硫黄が書いてあった。
けど、そんなことで覚えてろってのもなあ。
問8.
イオン交換についての問題。
(1)は、むしろ微量の重金属イオンの除去に用いるんだから間違い。
(3)は、第三級アミン基は弱塩基性。間違い。
(4)は、ファンデルワールス力のわけがない。
(5)は、私はうっかりコレを選んでしまったけど、破過点って活性炭の吸着限界だ。また、イオン交換はイオンの価数も交換量に影響するから、単にイオン量だけでは決められない。
(2)が正解だけど、まー、これは私すっかり覚えてなかったな。
テキスト276ページあたり。
問9.
膜分離についての問題。
これ、(4)が間違いで、クロスフロー式プロセスは、膜を透過していない水の一部を循環させて供給槽に戻す方法だそう。
考えてみれば、膜を透過してしまった水を戻しても意味がないんだけど。
何がひどいってこれ、テキスト281ページに図があるんだけど、文中では本当に名前挙げてるだけ。
本当にそれが重要と思って出題してんのかな。
私は(3)にしちゃった。
問10.
流動焼却炉についての問題。
これはたまたま直前に勉強したのでラッキーだった。
流動焼却炉は、砂を流動媒体にする。熱回収装置を設けないと熱効率が悪くなる。よって正解は(1)。
テキスト289ページあたり。
問11.
活性汚泥法の計算問題。
活性汚泥法の曝気槽中の汚泥の出入りについての問題って、毎年出てるんだけど、いつももっと普通に解けるような形で出てくる。今年のは相当ひねりまくった出題。
まず、流入排水量が1/3になり、流入排水のBOD濃度が180/240 = 3/4になっている。
掛けると、流入BOD量は1/4になっているとわかる。
現在のBOD汚泥負荷は0.4 kgBOD/(kgMLSS・日)で、MLSS濃度は3000 mg/L = 3 kg/㎥。
曝気槽容量はわからないのでV ㎥としておく。
求めたい流入BOD量は、x kgとおく。
すると、0.4 = x / 3V と式が立つ。xについて解くと、x = 1.2V kg。
流入BOD量は1/4になるので、0.3V kg。
変更後のBOD汚泥負荷は0.05 kgBOD/(kgMLSS・日)になる。
求めたいMLSS濃度を y kg/㎥とおく。
すると、0.05 = 0.3V / yV と式が立つ。yについて解くと、y = 6 kg/㎥。
単位を直して、6000 mg/L。
ということで、正しいのは(5)。
過去問を浚うと、また全然違う形でひねった計算問題があるから、とにかく色々やってみておくといいと思う。
問12.
生物膜法についての問題。
(1)になんか色々書いてるけど、生物膜法で「活性汚泥」なんて言葉が出てきてるのがおかしい、とのお話。これって浄化槽かなんかの記述じゃなかったかな。
といいつつ私は(3)と答えてしまって間違い。
テキストでは301ページあたり。
問13.
嫌気処理法についての問題。
炭化水素には窒素含まないので、何してもアンモニアのNは出てこない。(4)が間違い。
たんぱく質が含まれるとアンモニアが発生する、という記述がテキスト309ページにあった。
問14.
生物的硝化脱窒素法についての問題。
今までも生物的硝化脱窒素法の問題は出てたけど、装置についての話が多かったと思うんだけどなあ。
これはもう覚えてるだけの問題で、(5)が正答。200~300mVじゃなくて、-200~-300mV。
問15.
アンモニアを硝酸態窒素に酸化する場合の必要酸素量を100として、アンモニアを亜硝酸態窒素に酸化するのに必要な酸素量はいくらか。
とのこと。テキスト312ページ。で、正解は75で(2)。
正直わからんかったので、50じゃ少なすぎると思うし90は多すぎるだろうから、75でいいかなー、なんて回答しちゃった。
問16.
りん除去・りん回収技術についての問題。
HAP法はハイドロキシアパタイトに晶析させるものだけど、アパタイトってカルシウムとリン酸でできるものなので、添加するのは鉄塩じゃない。よって(2)が間違い。
MAPが確かマグネシウムアンモニウムリン酸塩だったかな。
なんとなく、ハイドロキシアパタイトって歯磨き粉の売り文句になってたことがあって、それが鉄塩でできるものなら歯が赤くなりそうだなー、って。
問17.
物理化学処理装置の維持管理の問題。
(1)は、pH計の校正はもっとこまめにやる。テキストでは二週間に一度。
(2)は、ジャーテストで決定する。
(3)は、ろ層の浮遊物質補足可能量はろ過水に関わらず一定。
(5)は、活性炭は混合させないように通水する。
よって(4)が消去法で正解。
また、過去問に、(4)とまったく同じ選択肢が正しいとして出題されている問題あり。
今年は珍しい、過去問派にやさしい問題。
問18.
凝集沈殿装置の維持管理の問題。
(1)は、硫酸アルミニウムのほうが中和に必要なアルカリが多い。
これも、過去問に同じ選択肢が間違いとして出題されていたことがあり。過去問派にやさしい問題。
他の4つもそんなに変なものはないと思う。
強いて言えば集泥レーキのことなんか気にしてない、というところだけど、これも過去問に出てた気がする。
問19.
生物処理装置の維持管理の問題。
(1)は、原水の溶存酸素に値が狂わされるからダメ。真ん中に設置するのがいいはず。
(2)は、SVIは、数値が低いほどより沈降して体積が小さくなっているわけだから、高いと沈降性は悪い。
(3)は、窒素除去を行う最近は増殖が遅いので、SRTを大きく取って増殖できる時間を取る。
(5)は、嫌気処理は低温だと進まなくなる。中温で人肌程度の36度くらい、高温で55度くらい。
よって(4)が正しい。
これも過去問で似たようなこと知ってるような。
問20.
分析方法についての問題。
これは、(4)が誤っていると知っていたので即答しちゃった。
テキストでは340ページあたりから。
問21.
ICP質量分析計についての問題。
(1)は、液体試料を噴霧するためのもの。
(3)は、質量分析部は真空状態だから記述がおかしい。
(4)は、質量分析計は光を計るものではない。イオンを導くためのもの。
(5)は、イオン化した原子を質量・電荷比によって分離する。
よって(2)が正しい。
どんなもんかわからんけど。
問22.
TOC計の値の読み方の問題。
濃度1 mg/Lでピーク面積5.4くらい、4 mg/Lで21.5くらい、10 mg/Lで54.8くらい。
だいたい直線的な相関があるのがわかる。
そこにピーク面積32.4となれば、だいたいフタル酸水素カリウム溶液で6 mg/Lくらいになる。
求めたいのは質量なので、原子量・分子量がほしい。炭素の原子量は12で、フタル酸水素カリウムの式量は204。
フタル酸水素カリウムには炭素が8コある。
6 × 12/204 × 8 = 2.8と解けるので、(3)が正解。
TOCはネタとして今ホットだから出るとは思ってたけど、装置の仕組みとかの問題かと思ったらこう来たよ。足払いかけてきてるなあ。
問23.
大腸菌群と検定法についての問題。
もうこれは知ってるか知らないかの問題。
(4)は、培養温度が20度となっているのが間違いで、36度前後にする。大腸菌なんだから体温ぐらいが培養温度にふさわしい。
テキスト377ページあたり。
私はうっかり(5)にした。
菌が発生させる酸に反応して赤くなる指示薬が培地に入ってると聞いてたけど、それが「ニュートラルレッド」という名前じゃない気がして。
問24.
全窒素の検定法の問題。
これはアンモニウムイオンではなく硝酸イオンなので、(5)が正解。
ペルオキソ二硫酸塩は酸化剤だから、窒素が酸化されて硝酸イオンになっても、還元されてアンモニウムイオンになることはなかろうと。
問25.
計測機器についての問題。
知ってるかどうかだけの問題。
全りんの検出は吸光光度法で、自動計測器でも同じなので(5)が正解。テキスト415ページ。
消去法じゃちょっとしんどいと思うけれど……
以上、長くなったけどひと通りおさらい。
やっぱり今年は難しいよねー。
ひどいところ聞いてくる問題はもう、運でしかないから諦めるしか。
出そうなところに重み付けをすることなく、まんべんなく勉強するってのも不可能だし。
過去問で出たことを、さらに難しくして聞いてくる傾向があったと思う。
過去問での勉強は基本として、さらに回答内容を掘り下げる作業をすると有効かも。
<追記>
かなり問題が難しいと文句を垂れつつも、私はなんとか合格してました。
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